AED(自動体外式除細動器)について

1、AEDとは

AEDは「Automated External Defibrillator」の略語で、日本語では「自動体外式除細動器」と呼ばれる「高度管理医療機器」に分類される医療機器です。「除細動」とは、心臓がけいれん(細動)した状態を「取り除く」こと言いますが、AEDは心臓に電気ショックを与えることで除細動を行います。

以前は医師など、限られた人しか使用する事が出来なかったAEDですが、2004年7月から医療従事者ではない一般の人でも使えるよう規制が緩和されました。AEDは、救命時に必要な操作などを音声ガイドや光で案内するため、AEDを使えば一般の人でも容易に救命救急活動を行う事ができます。

また、このAEDは心臓の動き具合(心電図)をAEDが自動に解析し電気ショックが必要な場合に自動で電気ショックを流す仕組みなっていますので医療従事者でない方でも安心して使用できるようになっているそうです。

2020年に一般市民の方々がAEDを使用した事例は、1092件あるそうですが、

その内1か月後生存者は581人(53.2%)、1か月後社会復帰者数は479人(43.9%)の数字が挙げられております。

 *令和3年版 救急・救助の現況(総務省)

AEDを使用せず、なにも処置を行わなければ、この数値はもっと低い値になったことは容易に想像出来ます。AEDの普及は非常に大きな意味を持っています。

またAEDの設置位置も重要です。

多くの場面で命を助ける事が期待されているAEDですが、素早く使用できる為にはポイントがあります。

ポイントは「適正な配置」です。多くの人が訪れる商業施設やホテル、市役所、学校などの公共施設などは、設置が進んでいるかと思いますが、何かあった際、誰でもすぐに使用できるように、施設に応じた「配置」や「設置場所の視認性」等を考慮しておく必要があります。

特に配慮しておきたいのが「距離」です。片道1分、往復2分以内で戻ってこられる距離が目安となるそうです。これは、心停止から5分以内の電気ショックが求められる為で、心停止発生から119番通報まで約2分かかること、AED到着から電気ショックまで1分ほどかかる可能性があること、などをみると、残りの2分以内にAEDを持ってくる必要があるためです。

そう考えると、どこで心停止が発生しても対処できるように、AEDを1分以内に取りに行くことができるような配置が必要になってきます。日頃からAEDの設置場所を気に留める事も必要な事になります。

2.心室細動とは

心臓の筋肉が不規則に収縮(けいれん)して、全身に血液を送ることができなくなった状態を言います。 色々な症状が有るようですが、おおむねの症状は1分間に300回以上、不規則に心室がブルブルと震えるような状態だそうです。

人が倒れて意識を失った場合、心臓が心室細動という不整脈を起こしている可能性があります。心臓を動かしている電気系統(心臓の筋肉の一部から発信された微量の電気が伝わるしくみ)が何らかの原因で混乱すると、リズミカルな収縮が行えなくなり不整脈となります。

その不整脈の中でも、とくに心臓の血液を全身に送り出す場所(心室)がブルブル震えて(細動)、血液を送り出せなくなった状態(心停止状態)を心室細動と呼びます。この心室細動が起こると、脳や腎臓、肝臓など重要な臓器にも血液が行かなくなり、数秒のうちに意識消失という症状が出現しやがて心臓が完全に停止して死亡してしまう、とても危険な状態です。

そこで、そうなる前に電気信号を整えて、ブルブル震えて痙攣している心臓を正常な状態に戻す必要があります。その役目を担うのがAEDというわけです。そのため心臓が完全に止まってしまう前に、一刻も早くAEDを使うことが重要になります。

3.AEDの使い方

3-1 安全の確認・患者の反応確認

 倒れている方を発見したら、周囲の安全確認を行い、交通事故など二次災害の防止に努めてましょう。落ち着いて周囲の状況を確認しましょう。

 

倒れている方の近くに寄って「大丈夫ですか?」などと肩などをたたきながら声をかけて「意識の確認」を行いましょう。その時に倒れている方が顔をしかめたり、手を払いのけるなどなんらかの明確な動作が無い場合は、「意識が無い」と判断しましょう。

3-2 119番通報、AEDの手配

意識が無い場合は、「だれかーー!!人が倒れています! 誰か助けて下さい!!」 など大声で周囲に協力を求めましょう。 それから、集まってくれた人に119番通報とAEDを持ってくるように依頼をしましょう。

その際は「誰か」ではなく具体的に「あなた」と目と目が合う様に指差しながら明確に要請しましょう。

3-3 呼吸の確認

次に普段通りの呼吸をしているかの確認です。呼吸の確認は、顔の斜め上付近から胸とおなかを10秒程度観察しましょう。10秒程度観察しても判断に迷ううときは呼吸が無い(していない)ものと判断しましょう。

3-4 胸骨圧迫

「意識無し」・「呼吸無し」を確認したら、AEDまたは救急隊が到着するまでは躊躇なく胸骨圧迫(人工呼吸)を行いましょう。胸骨圧迫のポイントは「強く・早く・絶え間なく」です。

倒れている方の胸のまん中にある胸骨(縦長の骨)の下の部分に両手を組み合わせて置き、胸が約5cm沈むぐらいに、1分間に100~120回のテンポで押します。これをAEDか救急隊が到着するまで「絶え間なく」行なうことが肝要です。この5㎝沈む位を1分間に100~120回のテンポを一人で続けるのはかなりきつい作業ですので、周囲の方と交代しながら続けるようにしましょう。

3-5 AEDの使用「AEDはスリーステップ」

AEDの操作手順ですが

1.電源を入れる

2.パッドを貼る (パットの入っている袋またはAEDにパットのはる位置の説明があります)

3.電気ショックボタンを押す(AEDが自動で測定し、必要と判断すると電気ショックを行います)

簡単3(スリー)ステップです。メーカーや機種により若干の違いはありますが、基本的にはほぼ同じ操作だそうです。

またAEDは、全てを音声でガイドしてくれます。特別な知識も不要で、誰にでも操作できるので落ち着いて安心して使用しましょう。

AEDを使って倒れている方が蘇生したら、倒れた時に頭などを打っている場合があるので基本的には動かさずそのままの体制で救急隊を待ちましょう。救急隊が到着したら救急の指示にしがって下さい。

AEDを使っても呼吸が再開しない(蘇生しない)ときは胸骨圧迫を救急隊が到着するまで続けましょう。胸骨圧迫(心臓マッサージ)による血液循環を行う事で脳や腎臓、肝臓など重要な臓器の酸素不足を防ぐことができるとの事です。

脳や各臓器の酸素不足を防ぐ事は大変重要な事です、その人が蘇生した場合の社会復帰できるかに大きく影響が有るそうです。

また、AEDの使用に当たっては配慮や注意がありますが、負傷者の方の体が濡れていると、電極パッドがしっかりと張り付かず、AEDの電気が体表の水を伝わって正しく流れずAEDの効果が不十分になります。傷病者の胸を乾いたタオルなどでふき取ってから、電極パッドを貼るようにしてください。

4.最後に

AEDの操作や胸骨圧迫(心臓マッサージ)のやり方については、各地の消防署などで講習会を実施していますので、皆さまも講習会を受講されてはどうでしょうか。一度経験しているいざという時、違います。私も機会があれば受講したいと思っています。

今回は今までとは少し違った内容(医療関係の用語が多く出ています)でした。医療関係の用語・表現につきましては、医療関係者や医療従事者でない者が記載していますので十分に注意を払って記載いたしました。しかし不適切な表現や間違った表現が御座いましたら弊社までご一報いただければ幸いです。

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