1.LEDとは
LEDとは「Light Emitting Diode」の略で日本語では「発光ダイオード」と呼ばれており、電気を流すと光る性質を持つ半導体の事です。
※半導体とは、電気伝導性の良い導体と電気伝導性が悪い絶縁体の中間(あいだ)の特性をもつ物質の事を言います。
別の言い方をすると、ある時は絶縁体の特性をもち、またある時は導体の特性を持つ物質といえます。
半導体は、電気的や化学的な不純物を混合させることで外部の影響(熱・光・磁場・電圧・電流・放射能)でその導電特特性が(顕著に)かわる特徴を持っています。
1962年にアメリカの技術者ニック・ホロニアック氏により発明され、発明当時は赤色のLEDのみでしたが、その後1960年代に赤色に加えて黄緑色LEDが開発され、早い段階から表示用光源として実用化されていきました。その後、1990年代に青色LED・緑色LEDの開発により光の三原色が揃った事や白色LEDの開発によってディスプレイのフルカラー化が現実出来るようになりました。
今から100年以上前の1907年に、イギリスのラウンド氏(H.J.Round)がSiC(炭素ケイ素結晶)に電圧を加えたときに発光することを発見したのが、半導体による発光現象の起源(発見)といわれています。
ただし、現在のような技術が確立されたのは、1960年代に入ってからのことで、1970年代に黄色LEDが開発され、1990年代になってから日本のメーカーによって青色LED・緑色LEDが開発されました。青色LEDの開発に比べて一般の注目度は低かったものの、1996年に白色LEDが開発され、それまで表示用が中心であったLEDが、一般照明用として使用用途が一気に拡大していきました。
LEDの発行色の違いは、LEDチップに使用される化合物で決まります。Ga(ガリウム)、N(窒素)、 In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)など、半導体を構成する化合物によって、放出(発行)される光の波長が異なる事によるものです。光の波長は450nm前後が青色、520nm前後が緑色、660nm前後が赤色に見えます。この波長の違いで、LEDの発光色(色の呼び名)を決めています。
※発行色と半導体材料の関係
〇赤色:アルミニウム/ガリウムヒ素(AlGaAs):波長660(nm)
〇橙色:アルミニウム/インジウムガリウムリン(AlGaInP):波長610-650(nm)
〇黄色:アルミニウム/インジウムガリウムリン(AlGaInP):波長595(nm)
〇緑色:インジウム/窒化ガリウム(InGaN):波長520(nm)
〇青色:インジウム/窒化ガリウム(InGaN):波長450-475(nm)
〇紫外:インジウム/窒化ガリウム(InGaN):波長356-400(nm)
〇白色:インジウム/窒化ガリウム(InGaN:青)+黄色蛍光体:波長465/560(nm)
〇白色:インジウム/窒化ガリウム(InGaN:紫外)+RGB蛍光体:波長465/530/612(nm)
(nm:ナノメートルと読みます。1メータの1/1,000,000,000 です。)
・橙色と黄色では材料がどちらも同じ アルミニウム/インジウムガリウムリン(AlGaInP)ですが、使用材料の比率を変えて発行色を調整しているそうです。
白色LEDの白色光は2色以上の光を混ぜて白色に見せる手法を用いるそうで、
A.青色LEDと黄色を発光する蛍光体の組み合わせです。黄色は青色の補色ですので青色と黄色が混ざって白色にみえます。この方法は簡単で、光も強いので最も普及していますが少し青みがかってみえるのが欠点だそうです。
B.紫外LEDで青、緑、赤の蛍光体を発光させる方法です。自然できれいな白色光に見えますが、まだ、A.の方法ほど強い光を発光する事が出来ないそうです。
C. 青、緑、赤3個のLEDを発光させる方法です。光が強くフルカラーを発光できるのでディスプレイの照明やLEDスクリーンなどで使用されているそうです。
現在上記A.B.C.の様な方法で実現しております。
2.LEDの特徴・用途
2-1LEDの特徴
LEDは発光ダイオードと呼ばれる様に、電圧を加えると光を発する特性を持っています。
色は赤、黄、桃、緑、青、白の各色が発光可能です。白色発光のLED電球が発表されてからは、LEDの省エネ性能に優れ、高い発光効率、長寿命という特徴・特性を生かし、LED電球やLED照明などの照明器具のLED化が進んでいます。
赤外線・紫外線をほとんど含まないという特性もあり、人体に優しく環境に有害な物質を含みません。また、発光させ続けても低温で発光効率が低下せず衝撃・振動に強く、調色・調光・点滅が容易に実現でき、防水構造も容易に実現できる特徴もあります。
LED電球の寿命は、一般の白熱電球が2,000時間程度に対して、2万時間から5万時間と非常に長いこと大きな特徴です。白熱電球は寿命がくると突然切れますが、LED電球は次第に光力が弱く(暗く)なりますので以前より暗く感じたら交換時期です。
消費電力は白熱電球の5分の1~10分の1以下と、省エネ性能に優れていることも特徴の一つです。LED電球は白熱電球よりも購入時の価格は割高ですが、年間の電気料金や電球の買い替えのことを含めると割安ですね。
また、LED電球・白熱電球それぞれを1日8時間使用したとして、LED電球の寿命を5万時間とした場合の寿命はおおよそ17年です。白熱電球は約7か月程度でLED電球と比べて遥かに短いです。交換する電球が高所に取り付けられている場合交換時の危険度・難易度を考慮すればLED電球の方が有利では無いでしょうか。
LED電球は白熱電球に比べて発熱が非常に少ないですので、熱に敏感な場面での照明等にも使用できます。
2-2LEDの用途
・今までの白熱電球に取り替わってLED電球はじめ、室内の照明器具
・街中では、信号灯や道路交通表示など屋外用大型ディスプレイ(電光掲示板)。
・パトカー等の緊急車両の赤色灯や、自動車のヘッドライト
・携帯電話(スマートホン)やノートパソコンのディスプレイのバックライト
・街中で夜になると色とりどりのイルミネーションやご自宅ではクリスマスツリーの電飾
以前の豆電球に比べれば発熱が少なく、木々に巻き付けなどを行っても木々への熱による影響は遥かに小さくなっています。
〇おまけ:LEDのメリットとして発熱が少ないがありますが、これがデメリットになっている場合があります。それは雪国の信号機です、今まで白熱電球を使用していたときは白熱電球が発する熱で積もった雪が解けていました。しかし発熱が少ないLEDだと信号機に雪が積もって信号機が見えづらくなり、雪対策が必要になっているそうです。
3.LEDと白熱電球や蛍光灯との違い
・白熱電球の発光するしくみ
白熱電球の発光するしくみは、フィラメントと呼ばれる細い金属線に通電してフィラメントを高温にすることで光を発生させています。
※フィラメント:細い糸状の事を表す、ラテン語で糸を表すfilumに由来するそうです。
白熱電球の電球(ガラス)の中にバネ状のぐるぐると巻かれたものがフィラメントです。高温に強い特性を持つタングステンという金属の線を用いています、2000℃以上の高温で発光しています。
白熱電球ではこのフィラメントが切れるという事が最大の弱点です、寿命がLED電球に比べ寿命が短い要因の一つではないでしょうか。
・蛍光灯の発光するしくみ
蛍光灯の発光するしくみは、蛍光管の両端に電極に付いているフィラメント
を熱する事で電子が反対側の電極へ放出しこの電子がガラス管の中に充填している水銀ガスと衝突する事で紫外線が発生します。
その発生した紫外線がガラス管の内側に塗られている蛍光塗料と反応する事で、白色などの光を発光しています。
さらに蛍光灯では構成上安定器というものを使用している為にその電気的ロスの要因になっています。
このように白熱電球や蛍光灯は、電気を一旦熱等に変換してから発光する仕
組なので多くの電力が熱になっています。LEDは、流れる電気(電流)がそのまま光に変換するので白熱電球や蛍光灯に比べて大変効率が良くなっています。
・LEDのしくみ
LEDの場合は上記で述べました様に、流れる電気を直接光に変換して発光する構造になっているので、発熱が少なく・効率が良くかつ寿命も長くなっています。