1.PSE規格(電気用品安全法)とは
PSEとは「Product Safety Electrical Appliance and Materials(電気用品安全法)」を略したものです。 電気製品の製造や販売などを規制し、その安全確保を定める日本の法律が電気用品安全法であり、法の基準に適合していればPSE認証(PSEマーク)を表示する事ができます。
原則的にPSEマークは、政府や特定の検査機関から取得をしたり、許可を得るものではありません。あくまでも事業者が電気用品安全法で定められた義務を果たしていることを自らが証明するものです。電気用品による火事や感電、ケガなどの事故を未然に防ぐことが目的であり、海外の電気用品であっても、日本に輸入し、使用・販売する時はこのPSEマークを表示する必要があります。
この法律(電気用品安全法)は、電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき、民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的しています。
もともと、日本において電気用品の安全確保について定めていた法律には「電気用品取締法」というものがありましたが、この法律は手続きが非常に煩雑で、事業者からは改善を求める声が多く上がっていたそうです。
また、輸入の際の障壁になると問題視されており、「電気用品取締法」を抜本的に改正した「電気用品安全法」が2001年に施行されることになりました。
内容としては、製造事業者や輸入事業者の手続き(申請)が緩和された一方、違反した場合の罰則強化や、販売事業者の新たな義務が追加されました。
改正が行われた要因の一つとして、先にも述べましたが電気用品取締法に対する輸入業者や諸外国のメーカーなどからの批判が挙げられます。電気用品取締法の手続きは煩雑で、特に海外では指定検査機関が非常に限られていたことから、事実上の非関税障壁と捉えられていたそうです。
それらを緩和しつつ製品の安全を水際で確保・維持しようとしたのが電気用品取締法の立法趣旨です。
また、消費生活用製品安全法、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、ガス事業法らと合わせ、いわゆる製品安全4法としての統一性を持たせる意図もあったそうです。PSE(電気用品安全法)以外の3つの法律もPSE同様に(次項で述べますが)特定ひし形(特定)とまる形(特定以外)に分かれています。
2.PSEの対象となるものは(PSEマークには2種類有ります)
電気安全法において指定されている「電気用品」は457品目。中でも特に安全上規制が必要なものとして116品目の「特定電気用品」が指定されています。
電気安全法における「電気用品」とは、電気安全法第二条に記載されている、下記のいずれかに該当するものを言います。(法令の抜粋になります)
1. 一般用電気工作物(電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十八条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。)の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であり、政令で定めるもの
2. 携帯発電機であり、政令で定めるもの
3. 蓄電池であり、政令で定める「電気用品」であり、「特定電気用品」以外の電気用品
1の一般用電気工作物は、一般家庭などで使われる、電力会社が供給する交流 100 ボルト、200 ボルトの商用電源に接続される電気工作物のことです。特定電気用品とは、危険が生じるおそれの高い電気用品のことを言います。
具体例:
ノートパソコン本体は電気用品ではありませんが、ノートパソコンのACアダプターは電気用品となります。
具体的には「特定電気用品116品目」「特定電気用品以外の電気用品(341品目)」の各品目を見ていただくほうが良くわかるかと思います。
2-1 特定電気用品(116品目)<ひし形PSEマーク>
「特定電気用品」は、10の区分カテゴリーに分けられた116品目に該当する製品です。特定電気用品がPSEマークを得るためには厳重な審査が必要となります。
詳しくは経済産業省の電安法ホームページを参照下さい。
参照先:特定電気用品(116品目)一覧 (経済産業省-電安法ホームページへ)
一例:(特定電気用品(116品目)一覧の表記通りに記載しています)
・コード(より合わせゴムコード)
・差し込みプラグ
・コンセント
・延長コード
・蛍光灯用安定器(蛍光灯は今後無くなっていくでしょう)
・鑑賞魚用ヒータ
2-2 特定電気用品以外の電気用品(341品目)<丸形PSEマーク>
「特定電気用品以外の電気用品」は、12の区分カテゴリーに分けられた341品目に該当する製品です。
詳しくは経済産業省の電安法ホームページを参照下さい。
参照先:特定電気用品以外の電気用品(341品目)一覧 (経済産業省-電安法ホームページへ)
一例(特定電気用品以外の電気用品(341品目)一覧の表記通りに記載しています)
・電気ストーブ
・電気こたつ
・電動ミシン
・電気鉛筆削機
・電気カーペット
・電気こたつ
・電気はんだごて
・電気アイロン
・電動ろくろ
3.2種類有るPSEの違いは
「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」の違いについて
・特定電気用品
特定電気用品とは、その構造又は使用方法等の使用状況により危険が生じる恐れの高いものとして
特定電気用品に指定されているのは、
A.長期間無監視で使用されるもの
B.社会的弱者が使用するもの
C.直接に人体に触れて使用するも
といったものが指定とされています。
長期間無監視で使用されるものは、電線類、配線器具類など、社会的弱者が使用するものは、主に子供が使用するおもちゃ類、直接に人体に触れて使用するものは電気マッサージ機や電気便座などが代表的なものです。
・特定電気用品以外の電気用品
特定電気用品以外の電気用品は、電気用品の中で特定電気用品に指定されているもの以外の341品目が該当します。
例えば、リチウムイオンバッテリーも特定電気用品以外の電気用品です。
特定電気用品以外の電気用品の製造事業者と輸入事業者は、事業の届出、技術基準に適合させること、自主検査など、登録検査機関の適合性検査を受けること以外は電気用品安全法で義務付けられていることは同じです。
基準に適合しているかの確認は、その事業者自身でできるのであれば行っても良い事になっていますが、一般的には専門の検査機関に依頼する事が一般的ですしその方が良いですね。
4.PSEマーク表示までの流れ
① 事業届出
事業開始から30日以内に事業届出を行います。
② 基準適合確認
取り扱う電気用品が、国が定める技術基準に適合しているかを確認します。
③ 適合性検査(特定電気用品の場合)
特定電気用品は登録検査機関で適合性検査を受けます。
適合性検査は、実物を検査する「技術基準への適合性の確認」と、製造現場検査である「製造工場などの検査設備の確認」の2つを行う検査です。
登録検査機関において検査を行ってもらい、証明書の交付を受ければ、その証明書を保存します。
④ 自主検査
自主検査は、すべての電気用品について実施しなければいけません。
PSE届出を行った製品は、製品の出荷前に全数自主検査を行わないといけません。輸入業者の場合はメーカーに出荷品全てに対して検査を実施してもらい、その検査結果を入手し、保存します。
電気用品によって検査項目は異なりますが、「外観検査」「絶縁耐力検査」「通電検査」は必須の内容です。
⑤ PSEマークを表示する。
自主検査をクリアすればPSEマークを表示することができます。その他、事業者名や定格電流など、国が定めた内容もあわせて表示します(表示しないといけません)。