ATX電源とは

ATXコンピュータ用の電源回路を収めたユニットの標準規格、およびその規格に準じた電源ユニット・電源装置の事です。現在のデスクトップパソコン(PC)用の電源としては、最も一般的なものです。AC100V~240Vといった商用電源を入力とし、内部で12Vや5Vといった各種の直流電源に変換を行い、PC各部へ給電する為の出力を作り出す電源装置です。

(*)ATXとはインテル社が策定した、パーソナルコンピュータの規格の事です。マザーボードや電源ユニット・ドライブベイの配置等の内部の構造を規定した規格ですが、マザーボードの規格として言われることが多いようです。
それまでのAT規格に代わってパソコン業界の標準的なものになりました。

(*)インテル社:(英語表記:Intel Corporation)世界最大大手の中央演算装置(CPUやMPU)・半導体製造メーカです。

1.ATX電源の概要

マザーボードや電源ユニットなどを含む構造規格として「ATX規格」が制定されました。「ATX電源」はその標準規格に準拠して設計・製造した電源ユニットの事です。取付ねじの位置やPCの筐体における開口部の形状・供給電圧・制御信号・コネクタなどは規定されていますが、形状は規定されていないそうです。特に供給する電流容量については規定されていないそうで、そのために多種の供給能力の製品が存在しています。
一般的な電源ユニットは、金属製の板やパンチングメタルなどの頑丈な筐体でできており、そのうちの1面がPCの外面に面する構造で作られています。その外側に面している側にはAC100~240V等の電源入力用インレット(ソケット)があります。
PCの内部側には出力や制御信号用の多数の供給用電源等の接続用のソケットを備えています。通常は1基か2基の冷却用送風ファンをいずれかの面に備えており、PC内部または外部から取り込んだ空気で電源ユニット内の熱を冷却し、温まった空気をPCの外部へ強制的に排出しりPC内部の空気循環に用いています。
ATX電源は、市販のデスクトップPCに組み込まれている以外に、自作パソコン向けや既存製品の改造・修理用などとしてユニット単体の状態でパソコンショップ等で販売されています。ATX電源は、総出力や電力変換効率といった電気的な性能の他にも、冷却機構の差などに起因する静穏性(主に冷却用ファンの音)や、内部使用の電子部品主にコンデンサの品質などに起因する信頼性と寿命や、配線ケーブルの取り回しや装飾的な機能を含むオプションの有無など多様な製品があります。
これらの要素によって価格も大きく異なります。安い製品では数千円前後から高価なものでは数万円のものもあり、高級品では概ね保証期間もが長いです。

(*)コンデンサ:電子部品の中で使用する温度によって明確に寿命が規定(変わる)電子部品です。使用温度が高いと低い場合に比べて寿命が短くなる性質を持っています。一般的に使用周囲温度が10℃下がると寿命は2倍に伸びます。

2.AXT電源のコネクタの種類

大抵の場合のATX電源ユニットには主に次の様なコネクタが用意されています。
・PCメイン電源コネクタ
 マザーボードに電力を供給するコネクタです。チップセット、メインメモリや拡張カードスロットにも電力を供給します。
20ピンまたは24ピンです。電源ユニットのコネクタの中で最も大きいコネクタになります。-12V、-5V、+3.3V、+5V、+12Vと多種の電圧を供給する他、電源を入れるための信号線も含んでいます。
・ATX12V4ピンコネクタ/EPS12V 8ピンコネクタ
PCメイン電源コネクタとは別にマザーボードに接続して、CPUに電力を供給するコネクタです。通常はATX12V4ピンコネクタを使用します。さらに大電力を必要とするハイエンドCPUではEPS12V8ピンコネクタが使用されます。
ATX12V4ピンと兼用が可能な(4ピン+4ピン)のEPS12V8ピンもあるそうです。

・ペリフェラル 4ピンコネクタ
ハードディスクドライブやDVDドライブなどの補助記憶装置に接続するコネクタで、+5Vと12Vを供給します。拡張カードやケースファンなどのアクセサリ類への電源供給用にも汎用的に使用されています。なおハードディスクドライブについては旧規格のIDE用で現在主流のSATA規格にはSATA用の電源コネクタを使用しないといけません。

・シリアルATA電源コネクタ
SATA接続のハードディスクドライブやDVDドライブなどの補助記憶装置に接続するコネクタです。15ピンで+3.3V(14.85W)、+5V(22.5W)、+12V(54W)を供給します。

(*)シリアルATA:SATA(サタ)と呼ばれている、コンピュータにHDD、SSDや光学ドライブを接続する為のインタフェース規格の事です。

・PCI Express電源コネクタ
PCI Express接続のグラフィックカードに接続するコネクタで、6ピンと8ピンのものがあります。主に6ピンのコネクタが使用されますが、一部のハイエンドグラフィックカードでは8ピンのコネクタが必要となるそうです。
6ピンのものでは最大で75W、8ピンのものでは最大で150Wの電力をグラフィックスカードに供給するそうです。

・12VHPWRコネクタ
ビデオカードに接続するコネクタ。PCI Express 5.0で規定査定さています。給電能力は最大600W。端子は電源用の12ピンに制御用の4ピンが加わり合計で16ピンとなっています。 大電流による過熱焼損を防ぐため、コネクタを根元までしっかり挿入すること、ケーブルを必要以上に曲げないことが推奨されています。・・・どの様なコネクタでもしっかりと根元まで挿入確認をすることは重要です。

3.ATX電源の使用上の注意点

適切な容量の選定が重要です。ATX電源の給電能力が不足すると、ご使用PCの故障の原因となる可能性があります。 たとえ定格内の使用であっても、供給電力に余裕がない場合、電源ユニットは発熱し、寿命に影響を及ぼし寿命が短くなることがあります。
出力電流値は各出力「(コネクタ)毎で異なるため、総出力値だけでは判断は難しいです。電力の変換効率は定格出力値の50%付近が最適ですので。余裕を持った選択を行う事が望ましいです。
+5VSB(+5V standby voltage)はパソコンをシャットダウンした後も待機電力として常時マザーボードなどに供給され続けている為、パーツ交換などでPC筐体内部を触るときはメイン電源スイッチをオフにするか電源プラグを抜くことを怠ると故障の要因となります。
また主電源をオフまたは電源プラグを抜いてもATX電源内部のコンデンサなどに電気が残っているため内部コンデンサの放電を待つようにしましょう。
よく聞く方法として、メイン電源オフ(電源プラグを抜く)にしてから電源スイッチの空押しを行う方法があります。しかし一定時間放置して自己放電を行うほうがより安全かと思いますので、ご使用のATX電源の取り扱い説明書などで確認ください。
・安全と品質のマーク、商用電源に接続される電気機器には使用する国や地域によって安全と品質の証のマークを確認しましょう。 UL・TUV、CCCなどですね。日本ではPSEマークになります(日本国内ではこのPSEマークがないと商用電源に接続することができません)。

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