イギリスの電気技術者のジョン・アンブローズ・フレミング(Sir John Ambrose Fleming)氏によって発見された
〇磁場中の導体に電流が流れるとその導体に及ぼす力
〇磁場内で導体を動かすと導体に有機電力が発生する
磁場(Field)・電流(Current)・力(THrust)或いは導体の動き(Motion of the conductor)
の三つの関係を表す法則の事です。
1.フレミングの法則の概要
フレミングの法則には、磁界(磁場)の中で電流が受ける力の向きを表す法則【フレミング左手の法則】と、磁界の中で導線を動かすときに誘導起電力または誘導電流の向きを表す法則【フレミング右手の法則】の2種類の法則があります。
この時に手の指を使って直観的に表すのでこのように呼ばれています。
2.フレミングの左手の法則(Fleming’s left hand rule)
2-1 フレミングの左手の法則について
磁界の中にある導体(電線)に電流を流すと導体(電線)に動こうとする力が発生します。
その時どの様に(どの向きに)導体(電線)が動くのかを求める方法(法則)がフレミングの左手の法則となります。
フレミングの左手の法則を用いる時は、【親指】【人差し指】【中指】を直角に(図:フレミングの左手の法則の様に)各指を立てます。
この時各指は
・中指(Second(Central) finger):電流の方向
・人差し指(First finger):磁場の方向
・親指(Thumb):導体(電線)が動く方向(導体が受ける力の方向)
の意味がありますので、中指を電流の方向に・人差し指を磁場の方向に向けると親指の方向が導体(電線)の動く方向になります。
◎導体(電線)の動く方向の求め方は
①中指を電流の向きに合わせましょう
②人差し指を磁場の向きに合わせましょう。
③その時の親指の向きが導線(電線)の動く向き(方向)になります。
2-2 フレミングの左手の法則で導線(電線)動く現象について
磁場内ある導線(電線)に電流を流すと動く現象についてです。
図の様な時どの向きに導体(電線)が動くかの、これを求める(決める)のにこの法則フレミングの左手の法則を用います。
①中指:電流の方向に
②人差し指:磁場の方向
に合わせますと
③親指:導体(電線)が動く方向(導体が受ける力の方向)
の方向に動きます。
(*)ローレンツ力:
電磁磁場内で運動する電荷粒子が受ける力のことを言います。
上記③の導体(電線)が動く向き(方向)の事を言います。
3.フレミングの右手の法則(Fleming’s right hand rule)
磁界内で導体(電線)を動かすとその導体(電線)に誘導起電力が発生します。
その時どの様に(どの向き)に誘起起電力が発生するのかを求める方法(法則)がフレミングの右手の法則となります。
フレミングの右手の法則を用いる時は、【親指】【人差し指】【中指】を直角に(図:フレミングの右手の法則の様に)各指を立てます。
この時各指は
・人差し指(First finger):磁場の方向
・親指(Thumb):導体(電線)が動く方向
・中指(Second(Central) finger):誘起起電力の方向
の意味がありますので、人差し指を磁場の方向・親指を導体(電線)が動く方向に向けると中指の方向が誘起起電力の向きになります。
◎誘起電力の向きの求め方は
①親指を導体(電線)が動く方向(向き)に合わせましょう。
②人差し指を磁場の方向(向き)に合わせましょう。
③その時の中指の向きが有機電力方向(向き)になります。
4.フレミングの法則とモータの回転について
4-1モータの回転するしくみ
フレミングの左手の法則からモータが回転する仕組みにていて。
磁界内にある導線に電流を流すことで力(電磁力)を発生させ、導線(電線)を折り返す事で力の向きを逆方向にさせて回転する仕組みです。
このような電線を巻いたものを「コイル」といいます。
図にあります「整流子」と「ブラシ」と呼ばれるものがあります、これはモータが回転するには重要な働きをする部品(パーツ)です。
4-2 整流子とは
図にある整流子について:モータが回転するためには重要な役目を行う部品(パーツ)です。
モータ(直流モータ)で、磁石のN極とS極の間を回転するコイルに流れる電流の方向を切り替える事によって、一定方向の力(トルク)を発生させることができるパーツ(部品・装置)です。
もしこの時整流子がないと回転(半回転)したところで電流の向きが変わる事で力(電磁力)の向きが図の様に逆になってしましますので、回転せずにもとの状態に戻る動作をしてしまいます。 整流子があるとこの電流の向きが変わる事でコイルは回転します。
4-3 ブラシとは
整流子の導通面と電線とを接触させて電気をコイルに流す部品です。(図は説明用に簡易なものです、実際の物とは厳密にはちがいます)
整流子が回転しているところにブラシが接触して電気を流す構造になっています。
・回転していても常に接触する様にブラシはバネで整流子面に押し付けています。
回転する時の振動などで接触面が離れると電流が流れなくなりますので、常に電流がながれる様な構造で作られています。
・回転する整流子面とお互いが接触しお互いが摩耗しているので、交換しやすいブラシが摩耗しやすい構造(素材)を使用しています。
4-4 逆起電力について
モータにはフレミングの左手の法則で回転しますが、この時(モータの回転時には)フレミングの右手の法則も同時に作用するのです。
*フレミングの右手の法則は 「磁界内で導体(電線)を動かすとその導体(電線)に誘導起電力が発生します」です。
この作用がモータを回転させる為に流れている電流とは逆向きの電気が発生します。
この事を逆起電力といいます。
その逆起電力の大きさVbは
Vb=φxN
φ:磁束の数、 N:モータの回転数
の式で求められます。
ごく普通に使われるモータでは磁束に使用しているのは永久磁石ですので、磁束の数は一定となりますので、モータの回転数が上がると逆起電力も大きくなります。回転数が上がり、一定の回転数になるとモータに流れる電流と逆起電力が釣り合ってそれ以上回転数が上がらなくなります。
電車などでは永久磁石ではなく電磁石を使用して、電磁石に流れる電流を小さくすることで磁束数をコントロールし逆起電力を小さくして、モータ回転数を高くしています。
この事を「弱め磁界」というそうです。
(*)弱め磁界:
弱め界磁または弱め磁束とは、トルクを低下させて電気モータの速度を定格以上に上げる技術です。弱め界磁は、自動化アプリケーションのモータ制御と、電気自動車および機関車のトラクションモータ制御に使用されており、トルクが低下しても許容される場合に、モータの速度を引き上げることができます。(電車の様に重量の重いものは発進(低速時)する際には大きなトルクが必要ですが、高速域ではその重量による慣性力が働くためトルクがそれほど必要でなくなります。)
・利点:
高速域での性能向上:モータが高速での動作領域(逆起電力が大きくなりモータの回転数がそれ以上上げる事が出来ない状態)に入ると、弱め磁束制御により磁束を減少させることで、高速域でのトルクを維持する事が出来ています。
効率向上:高速領域での不必要な磁束を削減することにより、電力の無駄(ロス)を減少させることが出来ます。
・欠点(注意点)
弱め磁界(磁束)制御を使用する際に、モータの磁束を過度に減少させると、トルクが極端に減少し、モータ回転が安定しなくなる欠点があります。その為に適切な制御を行う必要があります。
・出展:
「電車を好きになろうブログより」
「受験物理ラボ」
様より
以上です。