レアメタル(希少金属)とは

レアメタル(希少金属:きしょうきんぞく)は、様々な理由から産業界での流通量・使用量が少なく希少な非鉄金属のことをいいます。

1.レアメタル(希少金属)の定義

金属の種類で代表的なものとして次のものがあります。
・ベースメタル(汎用金属):
鉄や銅・亜鉛・鉛・アルミニウムなどのように普通に社会の中で大量に使用されていて、生産量も多く色々な材料に使用されている金属を一般的にベースメタルと呼ばれています。

・貴金属:
一般的には金、銀、白金(プラチナ)やパラジウムなどの8元素を指し、希少で耐腐食性があるのが特徴の金属を言います。
化合物をつくりにくく希少性のある金属元素をいいます。 
金 (元素記号Au・原子番号79)
銀 (元素記号Ag・原子番号47)
白金 (元素記号Pt・原子番号78)
パラジウム (元素記号Pd・原子番号46)
ロジウム (元素記号Rh・原子番号45)
イリジウム (元素記号Ir・原子番号77)
ルテニウム (元素記号Ru・原子番号44)
オスミウム (元素記号Os・原子番号76)
 の8元素で、これらを一般に貴金属元素といいます。

・レアメタル(希少金属):
明確な定義はないそうですが、「地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属のうち、安定供給の確保が政策的に重要(経済産業省)」で、産業に利用されるケースが多い希少な非鉄金属を指し、構造材料へ添加して特性を向上させたり、また電子材料・磁性材料などの機能性材料などに使用されています。

2.レアメタル(希少金属)の用途

レアメタルの用途は多岐にわたっていて、ハイテク製品にはほぼ使われていると言ってもいいくらいです。リチウム二次電池には、リチウムはもちろんですが、それ以外にも電極用にコバルトが使われています。光触媒のチタンや原子時計のセシウムなどもレアメタルですし、燃料電池の電極にもレアメタルが使われています。その他、半導体材料、電子材料、磁性材料、機能材料など、現在の産業活動や生活には欠かせない存在になっています。高性能な機能を発現させるためには、今まで使われてきたベースメタルだけでは性能が不足し、入手しにくいレアメタルの存在が重要となってきています。

3.レアメタル(希少金属)の種類

・ベリリウム:
元素記号Be・原子番号4で、精錬自体が複雑であるため、あまり市場には流通していないそうです。主に防衛産業や航空宇宙産業用の資源材料として使用されています。

・リチウム:
元素記号Li・原子番号3で、海水に含まれる資源としての分布は広く埋蔵量も多いですが、元素単体としては存在していません。近年ではリチウム電池(一次電池・二次電池)など、使用量は今後も増加するといわれています。

・ホウ素:元素記号B・原子番号5で、基本的には高融点・高沸点という特性で、硬くて脆い固体である。一般的にはゴルフクラブや釣り竿にも一部使用されています。

・希土類元素:
希土類元素(きどるいげんそ)は31の鉱種のレアメタルの中の1鉱種です。
スカンジウム、イットリウム、ランタノイド(15種、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)などの総称をいいます。
用途は幅広く、磁性耐製品、照明、ディスプレイ、プリンターなどに使用されています。

・チタン:
元素記号Ti・原子番号22で、金よりも高い耐食性と安定性があるといわれております、光触媒としての性質ももっており用途としては、自転車、ゴルフクラブ、化学プラントなどで使用されています。脱酸材としても使用されており、ステンレス鋼にでは炭素含有量を減らす目的でも使用されています。

・パナジウム:
元素記号Ⅴ・原子番号23で、軟らかい性質を持つため、圧延加工が容易といわれています。一般的にはゴルフクラブのヘッド部分によく使用されており、デンタルインプラントなどにも使用されています。

・クロム:
元素記号Cr・原子番号24で、使用用途としては、耐食性が高い点から、クロムメッキとしての用途が多い。ステンレス鋼でも使用されており、自動車や機械、包丁や台所用品でも使用されています。日本では国内消費される多くを海外からの輸入に頼っているので、国際情勢の急変に対する安全保障策として、国内消費量の最低60日分を国家備蓄するように定められています。

・マンガン:
元素記号Mn・原子番号25で、単体では使用されず合金としての活用が多いです。もっとも有名なところではマンガン乾電池やアルカリ電池の正極材料として使用されています。

・コバルト:
元素記号Co・原子番号27で、日本国内でも産業重要性が非常に高いですが、供給構造が脆弱であるため、ほぼ輸入に依存している。日本では国際情勢の安全保障策として、国内消費量の60日分を国家備蓄するように定められています。

・ガリウム:
元素記号Ga・原子番号31で、金属光沢があり、青みがかった特性を持ちます。使用用途としては、マイクロ波集積回路や半導体レーザーなどに重要な材料とされています。また窒化ガリウムは、ノーベル賞を受賞した青色発光ダイオードが有名です。

・ゲルマニウム:
元素記号Ge・原子番号32で、健康関係に詳しい方は聞いたことがあるかと思います。主に健康器具などに使用されており、食品や化粧品の成分にも使用されています。産業用としては、電子部品などの材料としても使われていました。

・セレン:
元素記号Se・原子番号34で、日本でも産出量は多いが、鉱石としては利用されていない。半導体性、光伝導性の特性があり、コピー機の感光ドラムに用いられていましたが、現在は制限されています。

・ストロンチウム:
元素記号Sr・原子番号38で、化学反応性(酸化)が高く、空気に触れると表面が黄色になる特徴があるそうです。真空装置や密閉装置の真空状態を保つためのゲッターとして使用されています。真空中の化学反応による活性ガスを付着する特性もあります。

・ジルコニウム:
元素記号Zr・原子番号40で、主に大半がオーストラリアで産出されています。セラミックス(二酸化ジルコニウム)はコンデンサーや差し歯や葉のブリッジなどに使用されています。

・モリブデン:
元素記号Mo・原子番号42で、産業用としても消費量が多く重要な材料です。一般的にはハイブリッドカーの電子基板などに使用されています。

・ルテニウム:
元素記号Ru・原子番号44の元素で、酸化や腐食に強く、王水にも腐食は受けない特徴があります。ジェットエンジンのタービンを含み用途などにも使用されています。

・ロジウム:
元素記号Rh・原子番号45で、白金鉱石の不純物として産出されています。主に装飾品として、プラチナやホワイトgoldの保護用として使用されています。2014年頃からは自動車向け触媒の需要に使用が増加しています。

・パラジウム:
元素記号Pd・原子番号46で、加工が容易で電子部品材料に使用されていましたが、近年ではニッケルなどへ置き換わりが進んでいるそうです。自動車触媒としても使用されており、応用される用途は広いです。

・インジウム:
元素記号In・原子番号77で、導電性があって透明である特性を持つため、液晶などのフラットパネルのディスプレイの電極幕として使われています。リサイクルの観点からは、電子機器や基板などから回収が容易なため、原料が高騰していることもあって再利用は進んでいる様です。

・アンチモン:
元素記号Sb・原子番号51で、「ある修道会で豚にアンチモンを与えたら(駆虫薬として働き)豚は丸々と太った。そこで栄養失調の修道士に与えたところ、太るどころではなく死んでしまった。それゆえアンチ・モンク(修道士に抗する)という名が与えられた」という俗説は有名です。アンチモンの生産量の約60%は難燃剤に使用され、20%が鉛電池、残りがすべり軸受、はんだ合金などで使用されています。

・その他には:
テルル:元素記号Te・原子番号52
セシウム:元素記号Cs・原子番号55
バリウム:元素記号Ba・原子番号56
ハフニウム:元素記号Hf・原子番号72
タンタル:元素記号Ta・原子番号73
タングステン:元素記号W・原子番号74
レニウム:元素記号Re・原子番号75
白金:元素記号Pt・原子番号78
タリウム:元素記号Tl・原子番号81
ビスマス:元素記号Bi・原子番号83
があります。

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