電気回路が大地(アース)と接触して電気が流れる現象を言います。
一般的には高圧回路は地絡で、低圧回路は漏電と表現する事もありますが明確な使い分けはありませんので、漏電と地絡はほぼ同義として用いられています。
1.漏電の概要
本来電気は電線を通って流れます。さらに電線は絶縁物などで絶縁されていますので、必要な場所以外には流れないようになっていますので人が感電することはありません。しかし何らかの理由(事故)で絶縁物が絶縁状態でなくなることを絶縁不良といいます。
大地と接続状態になるには、もろもろの条件が考えられます。
漏電については、設計時点では予期しない利用状況のケースもありますので、設計時には専門知識がないものが利用しても事故にならない設計(フールプルーフ)が求められます。
2.漏電とは
2-1 漏電とは
漏電(地絡)とは電気回路が大地(接地)と接触して電気が流れる現象をいいます。
漏電(地絡)は電気によるトラブルの大きな要因の一つで場合によっては地絡事故とも言います。
通常電気は電線のなかを流れます。電線は絶縁物で覆われており絶縁処理されていますので、必要な場所以外には電流が流れない様になっておりますので、通常はひとが感電することはありません。しかしなんらかの要因で絶縁物が破壊され、電気回路が大地と接触する事があります。この電気回路が大地に接続した状態が地絡状態となります。絶縁物が破壊状態を絶縁不良といいます。
大地と接続状態は色々な状態が想定されます。
・人が電気回路に接触してひとを経由して大地に接続状態になる。
・電線に釘など異物が刺さり、構造物を経由して大地に接続状態になる。
・機器(装置)などの内部で絶縁不良状態になり、機器(装置)を通して大地に接続される。 の様に漏電(地絡)に共通している内容は、本来は電気が流れてはいけない個所に電気が流れている状態です
2-2 漏電の状態
正常な状態と漏電の状態を簡単に説明いたします。
・正常な状態
通常(一般家庭)では電源から負荷(電気機器)には2本の電線(行きと帰りと表現します)に電流がながれますので、行きに流れる電流と帰りに流れる電流は同じです。
例えば
行きが15Aであれば帰りも15Aとなります。
・漏電(地絡)の状態
行きの電流値と帰りの電流値が違う(帰りが少ない)状態です。
例えば行きが15Aなのに、帰りが14Aの場合だと。
どこかで1Aが漏れている(ながっれている)状態になります。
(この例の1Aの漏洩は少し極端な例ですが)
この時漏れた電流の流れ方(流れた場所)によってはひとが感電したり、火災に至る事があります。
漏電はその電流によってひとに大きな影響を与えます。\
目安として下記の通りになります。
・1mA:ピリッと感じる
・5mA:強い痛みを感じる・20mA:筋肉が硬直し呼吸困難が発生する
・50mA:生命に危害を与えるおそれがあります
これはあくまでも目安ですので、1mAなら大丈夫(安全)ということはではありません。
3.漏電の原因
漏電の具体的な原因としては
・水濡れ、雨漏り・コードやプラグの劣化・破損
・電化製品の劣化・故障
・電流の容量オーバー
・ねずみなどの衝動部による被害
があります。
3-1 水濡れ、雨漏り
一般的に多い要因は電気設備(製品)が水に濡れることによるものです。
ジュースなどの飲み物をこぼすことや、雨漏りなどいろいろな要因で電気設備(製品)に水が付着するとや内部に侵入する事が漏電の要因となります。
水分が電気設備(製品)の絶縁体の内部に侵入する事や表面に付着することで、電気が本来流れない経路で流れる事です。
3-2 コードやプラグの劣化・破損
コンセントに挿入するプラグや電気コードの劣化や破損も漏電の要因となります。コンセントやプラグは消耗品ですので、経年劣化や頻繁な抜き差し・取り回しなどで使用していることで徐々に劣化し状態が悪くなります。
電源コードであれば、内部の電線(金属)を保護している絶縁材料が経年劣化で状態が悪化して内部の電線(金属)が露出する可能性があります。コードが不自然に曲げられていたり・束ねられたりしていると劣化が加速し易くなることがありますので注意が必要です。
3-3 電化製品の劣化・故障
電化製品の劣化・故障も漏電の原因となります。長い間電化製品を使い続けると次第に各部が劣化します、絶縁部分についても同様で知らないうちに劣化します。外見的には問題がなく使用できていてもその内部では絶縁物の劣化によって漏電が発生する状態になっている事になります。
尚このような事は、使っている使用者が異常に気付くことは難しい場合が多いようですので、漏電(感電)の未然防止には定期点検などのメンテナンスもひつようですね。
3-4 電流の容量オーバー
電流の過負荷も漏電の要因のひとつです。よく使用されているコンセントや延長ケーブルには使用可能な最大容量「最大15アンペア(A)」「最大1500ワット(W))などの使用できる最大値が記載(指定)されているはずです。
しかし、時には複数の電気機器(製品)を一度に使用するために「たこ足配線」などでコンセントや延長ケーブルに設定された許容値を超えると過負荷状態になります。この状態で連続して使用を続けると劣化が早まり、最後は漏電に至ることがあります。
3-5 ねずみなどの衝動部による被害
ねずみなどの小動物による被害は一般的な問題です。
オフィスや工場にねずみなどが侵入し電源コードをかじられて絶縁体が被害にあって電線がむき出しになる事があります。一般家庭でも、ペットなどが電線をかじって同様の被害が発生することがあります。
小動物などによる電源コードの損傷は、漏電を引きおこし機器(装置)の故障や安全上の問題になることがありますので、注意が必要です。
4.漏電の対策
・アース線をつなげる
・機器やコードの水濡れを防ぐ
・たこ足配線をしない
・電気設備周りを清掃する
4-1 アース線をつなげる
アース線は機器(装置)を安全に保つために大地に接続するための線です。
この線(アース線)があることでもし機器(装置)から電気が漏れて漏電状態になってもその電気を大地に逃がすことで感電するリスクを減らします。また落雷により機器(装置)に大電流が流れたときも安全に大地に電気を逃がします。\
この様なことからも電器機器(装置)を使用する時はアース線の接続が大事なことです。
コンセントにアース端子などが無い場合は電気工事の専門家(国家資格が必要です)にアース工事を依頼されることを検討下さい。
4-2 機器やコードの水濡れを防ぐ
水分(水気)は漏電の一般的な原因です、機器(装置)の近くには水分(水気)が無いようにすることが第一です。
意外と盲点なのは、加湿器の周辺に機器(装置)の設置は避けることが重要です。また、コンセントやスイッチを濡れた手で触れないようにすることも大切なことです。
4-3 たこ足配線をしない
電源タップや三角タップなどを使用して多重に接続する、「たこ足配線」は漏電の危険性を増加させる可能性があります。通常のコンセントから供給可能な電流は15アンペア(A)が最大容量です。タコ足配線を行うとこの限度を超えて電流を消費するリスクが高くなります。限度を超えることでコンセントや電線が加熱することで最悪漏電やさらに火災の原因となることがあります。
安全を担保するためにも電源タップの過度の使用(タコ足配線)は避けるようにすることが大切です。
4-4 電気設備周りを清掃する
定期的に機器(装置)やコンセント周辺の清掃を行う事は安全に使用する上では非常に重要な事です。 埃が蓄積することで、埃に湿気が加わり電気が通電しやすい状態になることで漏電のリスクが高まります。