Webトラッキングとは、ユーザがウエブサイト上でどのような行動を行っているかを追跡して、記録を行う技術です。
1.Webトラッキングの概要
WebトラッキングとはWebサイトを訪れたユーザの行動を記録・追跡する技術の事です。具体的には、それぞれのユーザがどのページを閲覧したのか、どのリンクをクリックしたか、どのフォームに入力したかなどの情報を収集します。この情報を分析することによって、それぞれのユーザの興味・関心・サイトの使い方などに関するデータを得ることができます。
Webトラッキングは、Webサイトの最適化やマーケティングに有効に活用されています。
2.Webトラッキングの方法(クッキー:Cookies)
ユーザのブラウザに小さなデータファイル(クッキー)を保存し、次回訪問時にその情報を読み取ることでユーザを識別します。クッキーにはユーザIDや訪問履歴などが含まれます。
この通信の情報にはアクセスに関するもののみです、それぞれのユーザの行動自体やユーザ自身の個人的なデータは保存されることはありません。
2-1 セッション管理
・ユーザ認証:
ユーザがログインした後そのセッションを継続するためにクッキーを使用します。このことによってユーザは再度ログインすることなくそのサイト内を移動することが可能になります。
・ショッピングカート:
オンラインショッピングサイトではユーザが選定した商品をショッピングカートに保存するためにクッキーを使用します。ユーザがそのサイトを離れても次にサイトを訪問した時にショッピングカートの内容が維持されています。
2-2 パーソナライズ
・ユーザの設定保存:
Webサイトはユーザの言語設定・テーマ・フォント(サイズ)など個人設定をクッキーに保存してその次に訪問した時に同じ設定が適用されます。
・パーソナライズド広告
ユーザの閲覧履歴などに基づいて個々に最適された広告が表示されます。このことにより広告の関連性と効果を高めます。
2-3 クッキーの種類
・セクションクッキー:
ブラウザを閉じると自動的に削除される一時的なクッキーです。主にセクション管理に使用されています。
・パーティションクッキー:
有効期限が設定されているクッキーの事で、ブラウザを閉じても保存されています。ユーザ設定やパーソナライズの設定に使用されます。
2-4 サードパーティクッキー: ・第三者によって設定されるクッキーで主にトラッキングや広告配信などに使用されます。
3.Webトラッキングの方法(IPアドレスのトラッキング)
ユーザのインターネットプロトコル(IP)アソレスを使用して、そのユーザの位置情報やオンライン行動を追跡する方法です。IPアドレスはインターネットに接続されているデバイスに割り当てられる一意の識別子の事です。
3-1 IPアドレスのトラッキング方法
・ログファイルの分析:
ウエブサーバはユーザがサイトを訪問するたびにそのアクセス情報をログファイルに記録します。これにはIPアドレス・訪問日時・訪問したページ・使用したブラウザなどの情報が含まれています。ログファイルを分析することにより訪問者の行動や傾向を把握することができます。
・ジオロケーション:
IPアドレスからユーザの地理的位置を特定する技術です。ジオロケーションデータベースを使用して、IPアドレスから国・地域・都市・さらにはインターネットサービスプロバイダ(ISP)を特定することが可能です。これによって地域毎のトラフック分析やターゲティング広告が可能となります。
3-2 IPアドレスのトラッキングの利用目的
・セキュリティ:
不正アクセスの検出や悪意のある行動を監視するためにIPアドレスをトラッキングします。異常なアクセスパターンや攻撃の兆候をいち早く検出することが可能となります。
・ジオターケティング:
IPアドレスを使用してユーザの地理的位置に基づいてコンテンツをパーソナライズします。地域毎のプロモーションや特定の言語でのコンテンツ表示などが可能です。
・訪問者分析:
ユーザの訪問パターンや行動を分析し、ウエブサイトの改善やマーケティング戦略の策定に役立てます。特定の地位からのトラフックが急増している場合はその地域に特化した策定を講じることが可能です。
・法的コンプライアンス:
法的要件に基づき特定の地域からアクセス制限を行う為に使用されることもあります。特定の国からのアクセスをブロックするなどの対策が可能です。
4.Webトラッキングの方法(ピクセルタグ:Pixel Tags)
別名をウエブビーコン(Web Beacons)ともいいます。ウエブサイトやメールに埋め込まれる小さな画像やコードです。
4-1 ピクセルタグの基本
・仕組み:
ピクセルタグは通常1x1ピクセルの透明な画像ファイルです。この画像ファイルはウエブページやメールに埋め込まれています。ユーザがそのページを閲覧するとユーザに関する情報がサーバにリクエストが送信されます。
4-2 取集される情報
収集される情報は主に次の内容になります。
・IPドレス
・閲覧(訪問)日時
・閲覧したページ
・ユーザ使用しているブラウザやデバイスの情報
・リファラー(どのページから来たのか)
・クッキー情報(セッションIDなど)
4-3 ピクセルタグの利用目的
・メールのオープンレート追跡:
メールを使ったマーケティングでユーザがメールを開封した銅貨を確認するために使用されています。これによってメールを使用したメールキャンペーンの効果を可視化することができます。
・サイト訪問の追跡:
特定のページがどのくらい閲覧されたのか、ユーザが特定のアクションを取ったのかを追跡しています。これらによってそのウエブサイトのパフォーマンスやコンテンツの効果の評価に使用しています。
・コンバーショントラッキング:
主に広告などキャンペーンの成果を測定する際使用します。ウエブ上の広告をクリックした閲覧者(ユーザ)がその後どのような(特定行動:購入・フォーム送信)行動を行ったかが確認することができます。
4-4 プライバシーとセキュリティの考慮
・ユーザの同意:
ピクセルタグの使用に関してはユーザ(閲覧者)に通知し同意を得ることが重要な事になります。多くの国では プライバシーポリシーにこれらの内容を明示する事を求めています。
・データの匿名性:
個人を特定できない形式でデータを収集・保存することが推奨されており、ユーザのプライバシーを保護できています。
・セキュリティ対策:
ピクセルタグを使用する際は、セキュリティリスクを最小限に抑える為の対策が必要となります。一例ですが、HTTPSを使用してデータの送信を暗号化するなどの方法があります。
・法令順守:
GDPRやCCPAなどのプライバシー法規を順守し、ユーザのプライバシー権利を尊重することが求められます。
ピクセルタグはユーザ(閲覧者)の行動を詳細に追跡する強力なツールですが、その使用には適切なプライバシー保護と法令順守が求められることを忘れてはいけません。
(*)GDPR:
2018年にEUで施行された「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」の事です。EUにおける個人データ保護に関する法律です。
EU加盟国およびEEA加盟国の一般消費者および従業員に関する個人データのほとんどが対象となります。
(*)CCPA:
カリフォルニア州消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act)の事で、カルホルニア州の住民を対象とした個人データの保護に関する法律となります。