安全装置・保安装置の考え方の一つで、ある一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような機構のことです。その設置目的から、保安上重要な機能を果たすことが要求されるために高い信頼性が必要となります。
1.概要
インターロック(interlock)は、作業者や周囲の人々の安全を確保するために使用されます。例えば、機械の部品や装置が正しく配置されていない場合、あるいは特定の手順が守られていない場合には、システムが作動しないようになっています。これにより、作業者が危険な状況にさらされることや、装置や機械が誤った方法で操作されることを防止することができます。
具体的な例としては、自動車のインターロックがあります。自動車が駐車状態(シフトレバーがPレンジ)でない場合には、エンジンを始動することができません。また、シートベルトが締められていない場合にも、エンジンをかけることができません。これにより、車の運転中に安全な状態を維持することができます。
また、産業用機械や工場の設備でも、インターロックが重要な役割を果たしています。例えば、機械のカバーが開いている場合には、機械が作動しないようにすることで、作業者が機械に触れる危険を減らすことができます。
インターロックは、安全基準を満たすために必要な機能であり、事故や怪我を防止するために重要です。システムや機械の種類に応じて、異なるタイプのインターロックが使用される場合がありますが、その目的は常に安全性を確保することです。
2.インターロックの種類(例)
インターロック(interlock)は、さまざまな分野で使用される概念で異なるシステムやプロセスの間で連動して特定の条件が満たされない限り、次のステップや操作を制限する機構を指します。次にいくつかの一般的なインターロックの種類を紹介させていただきます。
2-1.機械的なインターロック:
機械的なインターロックは、機械や装置の動作を制御するために使用されます。例えば、ドアのインターロックは、ドアが閉まっていない場合に機器の動作を防止するために使用されます。また、自動車のトランスミッションがパーキングポジション以外の場合にエンジンの始動を制限する機械的なインターロックもあります。
2-2.電子的なインターロック:
電子的なインターロックは、電子回路やコンピュータシステムを使用して制御されます。例えば、コンピュータのパスワードや認証システムは、特定のユーザーがアクセスできるようにするための電子的なインターロックの一例です。また、自動車のエンジン制御ユニット(ECU)は、異常が検出された場合にエンジンの動作を制限する電子的なインターロックを備えています。
2-3.安全インターロック:
安全インターロックは、人の安全を保護するために使用される特殊なタイプのインターロックです。工場や機械の場合、作業者が特定のエリアに入る前に機器を停止するための安全インターロックが必要とされます。例えば、機械のカバーが開かれた場合に機器の動作を停止させる安全インターロック装置が使用されます。
2-4.プロセスインターロック:
プロセスインターロックは、特定のプロセスが正確に順序通りに進行することを保証するために使用されます。例えば、化学プラントにおいて、化学反応が決められた工程通りに実行さるためにプロセスインターロックが導入されています。
3.リスクアセスメント
以上の様に述べてきました様に、作業者の安全を確保するためにはインターロックをはじめとした安全への取り組みが重要です。しかし、どれだけ安全を求めてもすべてのリスクは取り除けませんので許容できるリスクになるまで適切にコントロールする必要があります。そのためにはリスクアセスメントを行い、潜んでいるリスクの大きさと発生頻度を評価することが求められます。大きな力で動く設備やロボットも、人がその場にいなければ危害を受けることはありません。リスクは人がいてはじめて発生します。作業にはどのようなリスクが潜んでいるかを見極め、許容可能なリスクの範囲内か評価することで作業者の安全が確保されます。
(*)リスクアセスメント:
例えば職場における労災リスクを調べて(要因を特定)、その要因を許容範囲まで低減または解消する対策を行う事を言います。
3-1リスクの評価方法
リスクアセスメントでは4つのプロセスを踏んで、リスクを分析・評価することで、必要に応じてリスクの低減措置を講じます。
①対象設備の仕様の決定:
「どのような機械」を「どのような人」が「いつ」から「いつまで」使うかなどを決定します。
②危険源の特定:
決定した仕様の範囲内で、どのような危険が潜んでいるかを明らかにします。
③リスクの見積もり:
特定した危険源から起こりうる危害の大きさと発生頻度を明確にします。
④リスクの評価:
1~3までで分析したリスクを評価し、許容できるリスクの範囲内にあるかを評価します。
⑤低減措置の実施:優先度に応じてリスク低減措置の実施。
リスクが許容範囲外であれば、安全対策を講じて許容できる範囲内に低減する必要があります。
3-2安全カテゴリ
作業を安全な状態で行うために、常日頃から設備を保全するのはもちろんのことですが、それでも製品が故障した場合には安全が損なわれてしまいます。故障によってもたらされるリスクは設備の規模や稼働内容によって、リスクアセスメントの評価のもと適切に安全機構を組む必要があります。ISO13849-1では安全に関わるシステムが故障した場合の安全の維持能力を分類し、安全カテゴリと呼んでいます。安全カテゴリは設備の規模や想定される危険度を踏まえてB,1,2,3,4の5段階の中から選択します。
3-3インターロックは作業者の安全(命)を守る
インターロックは作業者の安全(命)を守るためになくてはならない仕組みです。設備自体に安全装置・安全機構を取り入れることはもちろん、作業者もルールを遵守するのが重要です。あってはなりませんが、工場における事故は重大な労働災害に繋がります。効率が落ちるからと安全確認を怠ることは、自分自身や仲間を危険にさらすことになります。過去の労働災害を繰り返さず、作業者の安全を確保するためにも、インターロックを適切に用いることが必要です。
(*)安全カテゴリ B,1,2,3,4の5段階:
安全カテゴリには、一般的には以下のような5段階の分類に分かれます。
・カテゴリ B: 重大な危険性がある
このカテゴリに分類される製品や状況は、非常に高い危険性があり、人々の安全に対して直接的な脅威をもたらす可能性があります。重大な事故やけが、環境への重大な損害などが予想されます。このような状況では、即座に対策を講じる必要があります。
・カテゴリ 1: 高い危険性がある
このカテゴリに分類される製品や状況は、重大な危険性があり、人々の安全に対して直接的な脅威をもたらす可能性があります。事故やけが、環境への損害などが予想されます。早急な対策が必要です。
・カテゴリ 2: 中程度の危険性がある
このカテゴリに分類される製品や状況は、一般的な危険性があり、人々の安全に対して一定の脅威をもたらす可能性があります。一部の事故やけが、環境への損害などが予想されます。対策が必要ですが、緊急性は低い場合もあります。
・カテゴリ 3: 低い危険性がある
このカテゴリに分類される製品や状況は、比較的低い危険性があり、人々の安全に対して直接的な脅威をもたらす可能性は低いです。事故やけが、環境への損害などは予想されませんが、注意が必要です。
・カテゴリ 4: ほとんど危険性がない
このカテゴリに分類される製品や状況は、ほとんど危険性がなく、人々の安全に対してほとんど脅威をもたらしません。事故やけが、環境への損害などは予想されません。