落下試験とは 

落下試験とは、製品(梱包されていない状態の製品)や荷物(梱包された状態の製品)が荷扱いや運送中に誤って落下させてしまうことを再現し、荷物が衝撃を受けた時に安全な包装設計になっているのかの確認(検証)を行います。 

1.落下試験とは(概要)

輸送中に貨物が受ける動的なダメージには、振動・衝撃・圧縮(押さえられる、例えば規定以上の積み重ね)があります。 

落下試験はこの中でも、衝撃に対する試験です。外的な衝撃とは、輸送機関が原因で生じるものは少なく、あったとしても衝撃レベルは少ないと考えられます。対して人が荷役作業中に発生させることが多いと考えられています。 

そこでポイントになるのが、”人”が要因であることです。落下試験というからには、やはり「人が誤って落とす」ということを想定することになります。 

「貨物を落とせば事故ですよね・・・。」という人もいるでしょう。しかし、落とす人は運送会社の人とは限りません。お店で商品を購入した人が自宅に帰るまでの間に誤って箱(購入品)を落としてしまうこともありますね。そのような場合にも、中の商品が壊れないようにする必要があります。 

では、落下試験で衝撃をシミュレーションする”落下高さ”はどのように決めているのでしょうか? 

人が落とすということで、梱包の大きさや貨物の重さでその高さは決まります。 

人が容易に持ち上げることの出来るサイズで、重量が5 ~15kg以内の物は、比較的高く持ち上げられる可能性があります。 

対して、比較的重く人が持ちにくいサイズの貨物の場合は、あまり高くまで持ちあげる事は出来ません。 

これらの事を考慮して作られた規格が、JIS規格の(包装貨物ー評価試験方法通則)にある”落下高さ”になります。 

また、製品自体(非梱包状態)の落下試験もあります。 

これは製品の取扱中に受けやすい落下衝撃に対して、その製品がどの程度耐える事ができるかの評価試験です。 

2.落下試験の方法について 

2-1 自由落下試験 

①製品の自由落下試験 

電気製品、電子部品が使用中に落下したり打撃したりすることにより、製品が受ける影響を再現して耐久性を評価する試験です。 

固定設置される製品については、耐落下性の評価は必要ありませんが、最近では、モバイル機器(携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートPC等)の普及に伴って、耐落下性の評価の需要が高くなってきている様です。 

製品落下試験機は、保持落下型と回転ドラム型に分けられます。要求される落下高や製品の重さによって、試験を選定します。 

・保持落下型落下試験機 

製品を任意の方向に固定し、一定の高度から製品を落下させる装置です。製品を固定しておき、落下途中で製品を開放し、製品のみを目的の角度で自然落下させることができます。 

これは、製品のある一定の部分(例えば、スマートフォンの角部分等)を何度も同じ角度で落下させて耐久性を評価したい場合に有効な装置です。 

・回転ドラム型落下試験機 

ドラム内に製品を入れて、一定の回転速度でランダムに落下事象を発生させる装置です。 

②包装貨物の自由落下試験 

輸送中に発生する落下衝撃を想定しての耐久性を評価する試験です。 

落下試験では、包装貨物(包装された製品)が落下衝撃を受けたときの影響を高精度で調べ、安全な包装設計になっているかを検証・確認を行います。 

包装貨物の重量と落下高さによって必要な試験装置を選定します。 

2-2 片支持りょう落下試験方法 

JIS規格では自由落下方法以外に実施している試験方法です。 

大型の貨物で機械荷役する場合は片支持りょう落下試験が実施されます。 パレットの片方を一定の高さに支持し、反対側を持ち上げて落下させる試験です。 

落下高さと支持高さ、落下回数は規格によります。 

2-3水平落下試験 

主に大型重量貨物について、列車連結時の貨車相互衝突やトラックの急発進及び急停止時に起こる水平衝撃を評価する方法で、衝撃による包装状態や内容品の損傷及び緩衝効果を調べる試験方法です。 

台上に包装貨物を置き、所定の速度で壁に衝突させる試験です。

3.落下試験の規格について 

3-1 自由落下試験の規格について 

「JIS Z 0200:2023 包装貨物―性能試験方法一般通則」で試験方法などについて規定しています。 

規定の高さから1角3りょう6面の10回(30kg超の場合は天面を除く9回)落下させます。 

落下高さ、落下回数は規格(レベル)・その試験物の重量により異なります。 

(*)りょう:上図の赤線で示す角の事を言います。 

以下に代表的な規格をご紹介します。 

※レベル: 

レベル1:転送積替え回数が多く,非常に大きな外力が加わるおそれがある。 

レベル2:転送積替え回数が多く,比較的大きな外力が加わるおそれがある。 

レベル3:転送積替え及び加わる外力の大きさが,通常想定される程度である。 

レベル4:転送積替え回数が少なく,大きな外力が加わるおそれがない。 

3-2 片支持りょう落下試験の規格 

同じく、「JIS Z 0200:2023 包装貨物―性能試験方法一般通則」で試験方法などについて規定しています。 

底面とつま面(側面)とに接するりょう(3−5りょう又は3−6りょう)を15 cmの支持高さの台の上に支持し,反対のりょう(3−6りょう又は3−5りょう)を下図の様に示す方法にて。 

下表の4区分による高さから各りょうについて2回ずつ計4回落下をおこないます。 

3-3 水平落下試験の規格 

JISでは「JISZ205 梱包貨物―水平衝撃試験方法」で規定されています。 

水平落下試験の装置は上図の構造をしています。 

材質、形状についてはJIS規格で詳細に規定されております。 

・滑走路の水平に対する角度 

・滑走路と衝撃板の角度 

・衝撃板に衝突したきの衝撃に耐えることが出来る事 

 表面のいずれかに15.7Mpa{160kgf/cm2}  

の荷重を加えたとき,0.25mmを超えるゆがみを生じないようにする。 

試験方法:(JIS規格より抜粋) 

  1. 衝突時の速度及び衝突回数 衝突時の速度及び衝突回数は.試験の目的によって決定します。 
  1. 供試品の姿勢  

a)面又はりょうに衝撃を与える場合は、供試品の面又はりょうと衝撃板の衝突面との角度が2°以下となるようにします。  

B)直方体供試品の縦方向のりょうに衝撃を与える場合,所定の姿勢となるように置いたときの供試品の面と衝突面との角度に対するずれは,±5°又は±10%のいずれか大きい方を超えないようにします。 

  1. 傾斜面試験の手順  

a)供試品の衝撃を受ける面又はりょうを衝撃板の構造によって,次のいずれかの位置に置きます。  

1)滑走車の前端に合わせる。  

2)滑走車の前端から5cm前方に出す。  

b)所定の衝突速度に対応する位置まで滑走車を引き上げて離します。  

4 水平面試験の手順  

  a)供試品が衝撃板の衝突面に所定の姿勢で当たるように,供試品を滑走車上に搭載します。  

   b)滑走車が鋼製レール上を移動して,衝撃板の衝突面に所定の速度で衝突するよう操作します。 

5 振子試験の手順 

   a)供試品が衝撃板の衝突面に所定の姿勢で当たるよう,供試品を支持台上に搭載します。  

   b)所定の衝突速度に対応する位置まで,支持台を衝撃板から引き上げて,振子を離します。 

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