Bluetoothは短距離の通信技術のことで、デバイス間でのデータ通信を可能にする標準規格です。主に(有線)ケーブルを使用せずにデバイス同士を接続するために使用されます。
1.Bluetoothの概要
1-1 無線通信技術:
Bluetoothは2.5Ghz帯のISM(産業・科学・医療)周波数を使用する無線通信技術です。
1-2 通信距離(短距離):
通常の通信距離は10メール程度です。デバイスや使用環境によっては100メートル程度まで通信可能なものもあります。
1-3 低消費電力:
Bluetooth Low Energy(BLE)と呼ばれるバージョンでは、非常に低い消費電力での通信が可能です。
(*)ISM周波数帯:
電波の周波数帯で国際的な取り決めにより産業(Industry)・科学 (Science)・医療 (Medicine)用の機器で無線局免許不要で自由に利用できるように解放されている周波数帯。
1-4 Bluetoothの名前について:
・名前の由来について
Bluetoothは、10世紀のデンマークとノルウェーの王様 ハラール一世(Harald “Bluetooth” Gormsson)に由来しています。彼はデンマークとノルウェーを統一し、異なる部族を結びつけることに成功したことから、彼の名前がこの技術に使われることになりました。
・その意味合いについて Harald “Bluetooth” Gormsson: 「Bluetooth」は彼のニックネームで、直訳すると「青い歯」ですが、彼の歯が青黒く変色していたことに由来するという説があります。 技術の比喩として、異なるデバイスを結びつけることからこの名前が採用されました。Bluetooth技術は異なる種類のデバイスをワイヤレスで容易に接続し通信できるようにすることを目指しています。
2.Bluetoothの仕組み
Bluetoothはマスターデバイスとスレーブデバイスと呼ばれる2種類のデバイスで構成されます。マスターデバイスはその通信の制御を担うデバイスです。スレーブデバイスはマスターデバイスからの制御に従って通信を実行するデバイスです。
2-1 使用する通信方式
BluetoothはFHSS(Frequency Hopping Spread Spectrum)と呼ばれている通信方式を採用しています。このFHSSは無線通信で使用されるスペクトラム拡散の方式の一種です。データ搬送を行う電波の周波数を短時間で次から次へと変更していく方式です。IEEE802.11の無線LANの標準方式の一つとなっています。
FHSSは、電波が短時間で色々な周波数帯に変化して行くので、特定の周波数におけるノイズの影響が受けにくい方式ですので、ノイズに強い性質となっています。更に通信の秘匿性も比較的高いといわれており長所の一つです。
通信の送受信側それぞれで周波数の変化の決め事の情報を共有していますので、通信データの変調・復調を正常に行う事が可能な方式となっています。
2-2 送信出力と通信距離
Bluetoothの送信出力はクラス(Class)によって次の様に分類されています。
・Class1:送信出力が最大100mW。通信距離はおおよそ100m。
・Class2:送信出力が最大2.5mW。通信距離はおおよそ10m。
・Class3:送信出力が最大1mW。通信距離はおおよそ1m。
・Class4:送信出力が最大0.5mW。通信距離はおおよそ0.5m。
(通信距離は送受信器の環境によってかわりますので、あくまでも目安です)
一般的にはスマートフォンやパソコン等のモバイルデバイスではClass2を、ウエアラブルデバイス等はClass3の送信出力を使用しています。
2-3 ペアリング
Bluetoothでデバイス同士を接続して使用する時は、ペアリングと呼ばれている認証プロセスを行います。このペアリングとは使用しようとするデバイス同士をお互いが認識しあって、安全な通信を行う為の手段です。
ペアリング方法は、デバイスによっては方法が異なりますがおおむね次の方法となります。
①双方のデバイスのBluetoothを使用可能(有効)にします。
②例えば、パソコン側でペアリングしたいデバイス(マウスなど)を検索する。
③検索した中から、希望のペアリング先を選択します。
④必要に応じて、パスキー(パスワードみたいな)とよばれている数字を入力します。
⑤デバイスでペアリングを承認します。
ペアリングが終了しますと、デバイス同士が接続状態となりデータ通信を行える状態となり、そのデバイスが使用可能となります。
2-4 プロファイル
Bluetoothデバイスは各々で異なる機能を持っています。このような機能を標準化するためにプロファイルというものが定義されています。
このプロファイルは特定の用途に必要な機能をまとめたものです。
デバイスの動作方法・製造者情報(シリアル番号などデバイスに関する情報)、デバイスから他のデバイスに通信したいデータ情報・セキュリティ条件・同時接続の制限等(2つ以上のデバイスどのように連携するのかなどの必要となる情報をまとめた仕様です。
例:ヘッドセット接続用:HSP(Headset Profile)
音楽再生用:A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)
ファイル転送用:OPP(Object Push Profile)
キーボードやマウス:HID(Human Interface Device Profile)
血圧値測定用:BLP(Blood Pressure Profile)
等があります。
デバイス同士が通信するには、双方のデバイスが同じプロファイルに対応している必要があります。
2-5 セキュリティ Bluetoothは128ビット暗号化などのセキュリティ技術を採用して安全な通信を行う事ができるようになっています。ペアリングを行う時にパスキー(パスワードの様なもの)を入力する必要がいるなどの色々なセキュリティ対策が施されています。
3.Bluetoothの用途
Bluetoothは色々な用途で使われています、主な用途について説明致します。
3-1 ワイヤレスイヤホン・ヘッドセットを接続
Bluetoothはワイヤレスイヤホンやヘッドセットの接続が多くで使用されている用途です。ケーブルの取り回しなどの煩わしさがなくなり音楽や通話が快適に楽しむことができます。
3-2 キーボードやマウスを接続
Bluetoothのキーボードやマウスは、ケーブル接続が不要で利用することができるので机・PC回りをスッキリさせることができます。さらに複数のデバイスとペアリングを行っておけばボタンの操作で容易に切り替えを行う事が出来ます。
3-3 ワイヤレススピーカを接続
Bluetoothスピーカは、スマートフォンやパソコンなどのデバイスから音楽などワイヤレスで再生することが可能になるスピーカです。ケーブルの接続が不要となり設置場所の制限がかんわされ快適に音楽などが楽しめます。
3-4 スマートフォンとスマートウォッチを接続
スマートフォンとスマートウォッチをBluetoothで接続することにより、スマートウォッチで通知を確認したり電話を受けたり・音楽を再生する事が出来ます。
3-5 ファイルを転送
Bluetoothはスマートフォンやパソコンなどのデバイス間同士でのファイル転送を行う時に使用ができます。ケーブル接続やクラウドサービス経由が不要となり、容易にファイル転送などデータ共有ができるようになります。
3-6 プリンターを接続
プリンターをBluetooth接続することにより、ケーブル不要で設置場所の制限が緩和されます。さらにスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスからも容易にプリントすることが可能になります。
3-7 医療機器を接続
Bluetoothは医療機器への接続も利用されています。血糖値測定器や血圧測定器などをBluetooth接続でスマートフォンと接続することで、測定データを用意に記録を行い管理することが可能となります。