キュービクルとは

ビルや会社の屋上にある【変電設備】等と表示のある大きなロッカーの様な箱の事で、電力会社の変電所から供給される高電圧の電気を、ビルや会社で使用できる低い電圧に変圧する設備のことで、色々な保護装置や計測装置・配電装置を内蔵している受変電設備のひとつです。

1.キュービクル高圧受電設備とは

キュービクル高圧受電設備とは、電力会社の変電所から供給される高電圧(6600Ⅴ)の電気を、ビルや住宅で使用できる低い電圧(100Ⅴや200Ⅴ)に変圧する設備のことです。各種の保護装置や計測装置、配電装置を内蔵している受変電設備のひとつです。
受変電設備は、「区分開閉器、断路器、遮断器、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、低圧配電設備」などで構成されておりこれらの全てを、大きなロッカーの様な金属製の箱に一括して収容したパッケージ製品が「キュービクル高圧受電設備」の受変電設備といいます。
キュービクル式の受変電設設備は、高圧変電設備として広く普及しています。単に「キュービクル」という名称で呼ばれています。英語ではCubicles(Electric Switchboard Equipment)という名称で呼ばれ、立方体の小部屋という意味です。

JIS規格では、「キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)として定められています。
(*)JIS C 4620 
JIS C 4620ではキュービクル式高圧受電設備は公称電圧6600Ⅴ・電源周波数50Hz/60Hzで系統短絡電流12.5kA以下の回路に使用する受電設備容量が4000kVA以下のキュービクルについてとあります。

(*)系統短絡電流
系統短絡電流とは、その電気系統内で発生した短絡電流事故などによって流れる電流のことを言います。電気系統内で何らかの異常(故障)が発生し、例えば同線間に短絡が発生した場合大電流が急激に流れることになりこの電流を系統短絡電流といいます。

系統短絡電流は、電気系統の設計や運用において重要な内容の1つです。適切な電気機器や保護装置の選定・系統の安定性評価および適切な配電設備の設置に必要な内容となります。また、系統短絡電流は高電圧や大きな電流による危険がありますので、電気安全規制や規格などで決められている重要な内容です。

2.キュービクルのメリットと注意点

2-1キュービクルの中について:
 電力会社(発電所)から送られた(送電)高圧電圧の電気を受電して・変圧(希望する電圧にすること)して各機器に送電(配電)するための機器が多く収納されています。
変圧器はもちろん、断路器・負荷開閉器・遮断機など電力回路の開閉を行う機器や保護装置、電圧や電流などの測定(表示)を行う計測器(コンデンサー)などで構成されています。
このような機器が頑丈な箱に格納し感電や停電などのトラブルを防止することに役立っています。

2-2 キュービクルのメリットと注意点
①メリット
・安全性が高い:
 頑丈な金属製の筐体(箱)に各種機器類を格納(収納)するので充電部などがむき出しにならないために小動物などが入ることを防止できるので、感電や停電のトラブルの発生が防止されます。また屋外に設置する場合は、オープンタイプ(解放形)に比べると雨風や外気・直射日光の影響が少なくなるために耐環境性に優れています。

・設置が容易:
 キュービクル式高圧受電設備は工場で組立完成したものを出荷時(運送)に必要に応じてブロック単位で分割し現地搬入後組立各配線を行うことで完成品となりますので、現地で機器設置・機器配線・組立を行うタイプよりも工期・費用が短縮できるそうです。

・狭小な場所での設置も可能:
キュービクル式高圧受電設備はコンパクトな筐体(箱)に機器類を収納しているので、ビルの屋上などの比較的狭い所でも設置することが容易にできるそうです。そのために、設置時の用地代などにかかる費用を削減できるメリットがあります。

②注意点
・内蔵する機器の大きさに制限
キュービクル式高圧受電設備は必要な機器をコンパクトに収納することには優れていますが、大きな機器の収納には限界があります。一般的には1000kVAを超える大形の変圧器の収納は難しいそうです。

・拡張性を考慮した設計が必要な時も
キュービクル式高圧受電設備は一旦設計し設置すると、その後に設備を拡張する場合にコストと時間が大きくかかってしまいます。そのために事前に確認事項があります。

〇キュービクル内部に機器増設用の機器や、空き回路など増設を見据えた設計を行っているか。

〇追加キュービクル設置のためのスペースや配線用設備・機器が設置可能か、フェンスなどを含めた用地が確保できるか。 〇屋上設置にキュービクル式高圧受電設備を設置している場合は、クレーンでの吊り上げ作業を行うのに必要なスペースを確保できるのか。また吊り上げ時に公道の使用が可能かなど。

3.キュービクル式高圧受電設備の方式の違い

3-1 方式の違いについて
キュービクル式高圧受電設備には遮断器を保護装置といて受電方式と、ヒューズを保護装置として受電方式があります、これはキュービクル式高圧受電設備の規模によって使い分けられています。
遮断器はヒューズと違って、何度も繰り返し電流を遮断することができますが、低圧(100Ⅴや200Ⅴ)とは違ってキュービクル式高圧受電設備で取り扱うような高電圧遮断器は遮断器本体のみでは動作がしません、過電流継電器や地絡継電器などからの信号を受信する構造となっています。
それら各種の保護継電器を含めた制御(コントロール)が必要となりますので、キュービクル式高圧受電設備そのものも大きく複雑な構造になりますので、おおむね300kⅤAを超える規模の場合になります。
ヒューズを使用した方式では、ヒューズ本体に流れる電流で異常電流遮断を行うので継電器を必要としない為に簡単でかつ確実な保護ができますが、ヒューズは一度遮断(切れる)と再利用はできませんので交換が必要となります。よって通常は小規模な施設での使用に限定されるそうです。
キュービクル式高圧受電設備の規模によって、遮断器を主体とした「CB形(サーキットブレーカ形)」とヒューズを主体とした「PF・S形(パワーヒューズ・スイッチ形)」に分かれます。
300kⅤA以下のキュービクル式高圧受電設備は「PF・S形(パワーヒューズ・スイッチ形)」を、300kVAを超える場合は「CB形(サーキットブレーカ形)が選定時の目安となるそうです。

3-2 PF・S形(パワーヒューズ・スイッチ形)の特徴
PF・S形キュービクルは、遮断器本体だけでなく、遮断器を動作させるための保護継電器もないため、CB型と比較して大幅にコストダウンになります。
PF(高圧ヒューズ)は使い捨ての設備になりますので、短絡事故などの大電流でヒューズが溶断した場合、新しいヒューズに交換することになります。
なおPF・S形のキュービクル式高圧受電設備は、負荷設備に高圧電動機を設けている場合は採用ができないそうです。したがって高圧電動機を含んだ受変電設備では、遮断器を搭載したCB形を選定することになります。

3-3 CB形(サーキットブレーカ形)の特徴
CB形のキュービクルでは高圧遮断器を内蔵した受電です、遮断器の種類にはいくつかの種類がありますが、6600V高圧受電では真空遮断器(VCB)が用いられているそうです。

(*)真空遮断器(VCB):
高真空の容器に電極を収めた構造になっています。高真空による、優れた絶縁耐力と、消アーク能力を利用して電流の遮断を行う遮断器になります。通常特に高電圧のほど電路の解放を行うと、電極間には電極から蒸発した粒子と電子に寄って構成されるアークが発生します。しかしアークを構成する物質は高真空の環境下では拡散してしまい、アークはその形をとどめておくことができず消滅します。

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