ステッピング・モータなどでモーションコントロールさせる際の加速・減速の手法として
台形駆動・三角駆動や曲線駆動があります。
1.台形駆動とは
モーションコントロールの位置決め制御を行うに於いて、A点からB点に位置決めをさせる場合。
A-B間の移動量Dの移動(位置決め動作)行う場合。
注1)時間:t(横軸) 速度:v(縦軸) 加速度:α(縦軸)
注2)加速度α=(v-v0)/t
1.スタート地点A点から移動量DのB点に移動(位置決め)を行うのに速度vを加速・減速時間0で動作を行った場合が
図1です。 注2)の式より加速度αは分母のtが限りなくゼロに近くなるので、計算結果は理論上では限りなく
∞(無限大)となりかなりの振動や衝撃となります。 また、ステッピング・モータであれば、速度が自起動周波数
※1以上で使用すると脱調状態※2となり正常な動きが出来なくなります。
2.その衝撃・振動を軽減させる方法は、図3の様に速度vに到達するのに任意の時間をかけて行う台形駆動による加減
手法があります。この手法を用いれば先ほどに比べ図4の様に加速度の最大値を抑えることができます。
加速―>等速―>減速この様子を図にすると図3の様な台形の形になるので台形駆動と呼ばれているようです。
またこの時正しく減速加速停止させるためには加速時に要した移動量を【d1】とすると【D-d1】の位置から減速を行い
ます、この減速開始点が早くても遅くてもいけません。このポイントの計算を適切に行う事が重要です。
2.三角駆動とは
同じくA点からB点に移動させる場合で移動距離が短く速度が最高速度に達しないと台形駆動にならず、図5に示す様な時は三角駆動となります。 その時の加速度は、図6の様に+αからーα(加速から一転して減速)に変化し、より一層の振動や衝撃の要因となり時には脱調状態となり正常な動作が出来なくなる事も有ります。
3.曲線駆動
先ほどお話した台形駆動・三角駆動の様な直線的な加速・減速でなく、曲線的な加速・減速を行うことで一層スムーズなモーションコントロールの実現が可能です。特にステッピング・モータには有効です。
加速・減速の変化率を一定ではなく曲線的な変化率で行います、これらにはいろいろな方法がありますが弊社のモーションコントローラでは次に述べる「サイクロイド曲線」と「変形台形曲線・変形正弦曲線」を選択して頂く事が出来ます。
3-1 サイクロイド曲線
サイクロイドとは、円がある規則にしたがって回転するときの円の上のある点(定点P)が描く 軌跡(青色)でえられる
曲線の総称を言います。
弊社のサイクロイド曲線は式1で演算されます。
・・・・式1
f:周波数 F:最大周波数
t:経過時間 T:最大周波数に達する時間
位置決め量とカム・ピッチ(Pc)が等しい場合には、制限速度まで加速する加速・減速対称のカム曲線が得られます。
位置決め量がカム・ピッチより大きい場合(Pa)、(Pa-Pc)相当の等速区間ができます。
位置決め量がカム・ピッチに満たない場合(Pb)、一時的にカム・ピッチ=Pbとした曲線で移動します。この場合の制限速度は最大加速率が(Pc)の場合と等しくなるように決定されます。
変形台形、正弦曲線の加減速率はカム・ピッチと制限速度により決まります。
*カム・ピッチ(Pc)はパラメータで設定します。
このほかに以下のカム曲線も有りますのでご参考までに紹介いたします。
〇単弦曲線
一般的には等速度曲線といわれているものです、ハーモニックまたはアルキメデスとも呼ばれています。
〇変形等速度曲線
位置決め動作中の一定区間を等速で行うときに使用するカム曲線です。
〇トラペクロイド曲線
停止エネルギーを緩和するために減速のカム割り付け角を大きくした曲線です。
東阪電子の技術情報
弊社のモーションコントール製品は、各種加減速手法の対応はもちろんお客様の要望に応じた設計・開発・製造についてもお気軽にご相談下さい。