ツイストペアケーブル とは

ツイストペアケーブル(英語表記:Twisted pair cable)は、電線を2本対で撚り合わせたケーブルのことを言います。 

 

1.ツイストペアケーブルについての概要 

平衡接続の1つであり、通常の平行線の様に撚り合わせていないものよりノイズの影響を受けにくい。古くからは電話線などに用いられていましたが、最近ではイーサネットLANケーブル等に採用され、広く普及しています。 

(*)平衡接続:音響・有線通信回線で、等長・等間隔の2本の 電線 を利用して電気信号を送る方法で、1本の線に元の信号を、もう1本の線に位相を反転さ(逆位相の)信号を送る(信号が平衡関係にある状態)こと。差動信号 ( differential signaling) とも言います。2本の電線はどちらも接地されておらず。受信側で2信号の差を取ることで、配線起因のコモン・モード・ノイズを消すことを前提としており、耐ノイズ特性を備えています。 

ツイストペアケーブルは、平衡接続された2本の配線をねじり合わせることにより外部ノイズの影響を低減させています。 

平衡接続では一般的に差動信号を用います。送信側は2つの配線に互いに逆位相の信号を送り、受信側は各配線信号の差分として信号を検出します。このとき、外部のノイズ源があると、それにより生じた電磁場が配線内部に侵入することで信号が乱れますが、基本的には両方の配線信号に等しく影響するため、受信側の差分検出によって打ち消し合い無効化(同相信号除去)されます。 

しかし、ねじりのない配線の場合、2本のうちノイズ源に近い方の配線がノイズの影響を強く受けることがあります。これによりバランスを失ってノイズ無効化が上手く機能しないことがあります。この不平衡は複数の平衡配線が束になっている場合など、互いの配線がノイズ源として同行している場合に顕著に現れ、配線長が長いほど増加します。これを漏話(ロウワ:クロストーク)と呼びます。 

これらの現象を解消するために、配線を撚り合わせてノイズ源に近い配線が入れ替わるようにすることで、両配線のノイズの影響を均一(コモンモード)にして、ノイズの打ち消しが作用しやすいようにしています。また、ケーブルからの電磁波放射も減少させています。 

ケーブルの主な仕様として、メートルあたり何回ねじられているかを表すツイスト率(ツイストピッチ)があります。隣り合ったペアのツイスト率が同じだと、別々のペア同士で同じ導線が繰り返し隣り合うようになるので、差動信号の利点を失うことになります。そのため少なくともケーブル内のいくつかのペアはツイスト率を変える方が良いとも言われています。 

2.ツイストペアケーブルの利点とその理由 

ツイストペアケーブルの利点は、単なる平行の2本ケーブルと比べると外来ノイズの影響を受けにくく且つ、外部に対しての影響をあたえにくくなります。 

2-1 外来ノイズの打ち消し効果によります。 

信号の対線が平行である場合、外来ノイズの電磁波によって磁場が発生しますと、それに伴い起電力が発生し誘導電流が発生してノイズ源となります。 

この様な現象の対策として、信号線(電線)をねじる(ツイスト)ことで、ねじれ毎に起電力が逆向きに働くようになります。 

このため、起電力がノイズを打ち消しあうようになり、飛来ノイズからの影響を低減することができます。 

2-2 流れる電流で発生するノイズの打ち消し効果によります。 

 先ほどとは逆でケーブルに電流が流れることで磁束が発生しますが隣同士で磁束が逆向きなる事で隣同士の磁束が弱め合う方向に働く(打ち消し合う)ため、ノイズが弱くなります。 

このようにツイストペアケーブルは 

・外部からの磁束で発生する電流は隣同士で打ち消す。 

・ケーブルの電流で発生する磁束は隣同士で打ち消される。 

ので、外部の影響(外来ノイズ)に強く、自分自身が出すノイズも少なくなる事でツイストペアケーブルがノイズに強いと言われる要因となります。 

3.ツイストペアケーブルのシールド有無による種類 

ツイストペアケーブル自体ノイズ対策なのですが、更にツイストペアケーブルの外部にシールドを施す(包むことで)ことでさらなるノイズ対策となります。 

まずは、そのシールドが施されていないものをUTP(Unshielded Twisted Pair、シールドなしツイストペア)ケーブルと呼びます。電話線やイーサネットなどで使われています、ツイストペアケーブルの周りを覆うものが無い為に取回しが簡単で安価なため、特に高速伝送を求められないイーサネットのLAN用途に標準的に使用されています。皆さんが普通に見かけられたり、ご使用になられているLANケーブルの多くはこのUTPケーブルです。 

(*)一般的なLANケーブル: 

イーサネット(LANケーブル)で用いるケーブルでは4対のツイストペアによる8本の銅線で接続し、その両端に8P8C(通称RJ-45)と呼ばれるコネクタがついたものが主に使われています。 

一方で、シールドが施されたものを一般にSTP (Shielded Twisted Pair、シールド付きツイストペア)ケーブルと呼びます。特に、ツイストペアごとにシールドで覆ったケーブルは規格上FTP (Foiled Twisted Pair, 金属箔付きツイストペア)ケーブルと呼びます。 

シールドは外来ノイズ等の電磁干渉を防ぐために施されています。外部ノイズ源の電磁波を減衰させます。また、誘導電流がシールド(アース接続)を経て装置のケースや接地へ逃がす(流す)事で、電磁波放射を軽減させています。工場内や野外、通信速度が高い場合など、ノイズ耐性が要求される場面で使用します。 

・シールド付きツイストペアケーブルのシールド線の処理の方法例について 

通常シールド線の一端は図の様に接地(一般的にアースするとも言います)しておきます。そのことで、赤線(矢印)の様にシールドを通じて接地と同電位になる事によって内部のケーブルが外来ノイズ等の外部からの電磁干渉から受ける影響をシールド(遮へい)または軽減します。さらにケーブル自身から発生するノイズ等も同様にシールド効果によって外部への放出を阻止又は減少させています。 

(*)接地の取り方:一般的に接地(アース)は図の様にケーブル(電線)の一端のみで行います。シールド付きツイストペアケーブルの両端で接地(アース)を行うとシールド線(外被)の両端で電位差が発生した場合その電位差によって流れる電流が、ノイズ源になる事がありますので注意が必要です。 

【これは効果があるかどうかはケースバイケースですが、ノイズ等でお困りの時は試してみる価値はあります。】 

・シールドの種類(規格)について 

シールドには、ケーブル全体を覆う外装シールドとツイストペア線を覆う内装シールドの2種類があります。ケーブルメーカーでは、STP・FTP・シールド付き・スクリーン付きなどの語が異なる意味で混用されています。ⅠSO/ⅠEC1180という規格でシールド方式の仕様は標準化(国際規格化)されています。 

シールドと言っても種類があります、通常は「編組」と言って網状(網状ですので隙間があいています)になったものです。さらにシールド効果を上げるために「箔」と言ってアルミ箔で覆ったものがあります。これは編組と違って隙間が空いていないのでよりシールド効果がありますが、一般的には電線が固くなり、曲げや屈曲性を求める場面での使用には注意が必要となります。使用するケーブルの仕様を良く確認することが大事です。 

以上 

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