ロボットコントローラはロボットの動作を制御・監視するための専用の電子機器やソフトウエアを示します。ロボットの動きや操作を指示しセンサーやアクチュエータを連携させる役目を持ちます。
ロボットコントローラには種類がありロボットの種類や用途によって選択される制御システムが異なります。いくつかの種類をご紹介いたします。
1.動力学制御コントローラ
動力学制御コントローラを搭載したロボットは、ロボットの力学的特性つまりトルク(回転力)を精密に制御することを目的としています。このタイプのコントローラはロボットが物体と相互作用するときに非常に重要で、柔軟で正確な力を加える作業や接触動作を行うタスクで優れた性能を発揮します。
1-1 力学制御の基本
動力学制御とは、ロボットの運動における物理的な力やトルクを取り扱う制御方式です。これによりロボットは単に指定された位置や速度で動作するだけでなく物体や環境にたいして適切な力を加えたり、外力を受けた場合に反応したりすることが可能になります。
1-2 動力学制御コントローラの特徴
①精密な力とトルクの制御
動力学制御コントローラはロボットの関節やエンドエフェクタに加わる力とトルクをリアルタイムで計算しそれに基づいて動作を調査します。例えば溶接・研磨・組み立て作業など物体に適切な力を加える作業に用いられます。
(*)エンドエフェクタ:ロボットアームの先端に取り付けられ 掴む・加工を行う・ネジを締める・塗装を行うなどの作業を行う機器です。
②運動モデルに基づく制御
ロボットの動力学モデル(質量・慣性・摩擦・剛性など)を使って正確な予測しそれに従って制御します。これによりロボットの動きがスムーズで予測可能なものとなります。
③フィードバック制御
センサー(エンコーダ・力センサー・トルクセンサーなど)を使ってロボットの動作をリアルタイムで監視し実際の力やトルクが目標に合っているかを確認します。その時ずれがある場合にはコントローラはそれを補正して正確な動作を維持します。
④外力への対応
動力学制御コントローラはロボットが予期せぬ外力(例:人や障害物との接触)を受けたときに柔軟に対応することが出来ます。外力が加わった場合ロボットはそれに応じて動作調整し壊れたり・過度に力を加えたりしないようにします。
-3 動力学制御コントローラの主な用途
①組立作業
微細な力加減が必要な精密組立作業において、動力学制御を利用して部品の接合や位置決めを行います。過剰な力を加えず破損やミスの少ない精密な作業が可能です。
②加工・仕上げ作業
研磨や削り作業などでは一定の力で表面を均等に仕上げる必要があります。動力学制御は対象物の表面の状態に応じて力を調整し高品質な仕上げを行います。
③人との協働作業
動力学制御を利用することで、ロボットが人と共同作業を行う際に接触時の力を制御し安全性を確保することが可能となります。協働ロボットでは特に重要な機能となります。
1-3 動力学制御ロボットのメリット
①高精度な動作
力とトルクを精密に制御できるために精密作業に向いています。
②柔軟な動作調整
外力に対する反応や動作の調整が素早く・柔軟に行えるため協働ロボットや非定形作業に最適です。
③安全性
繊細な力制御を行うことで人や物体に対して安全な打往査が可能になります。
2.位置制御コントローラ
位置制御コントローラを搭載したロボットは、ロボットの関節やエンドエフェクタの位置を高精度に制御することを目的としています。この制御方式はロボットが特定の位置に正確に到達し、特定の起動をたどる作業において非常に重要となります。
2-1 位置制御コントローラの基本
位置制御とはロボットの動作が正確な座標(位置)に到達するように制御する方式です。この制御では目標位置(目的地点)に向けてロボットの各関節を動かしその過程でセンサーやフィードバック機能を使って実際の位置を確認しながら調整を行います。
2-2 位置制御コントローラの特徴
①精密な位置の管理
ロボットの各関節やエンドエフェクタが事前に設定された位置に到達するように制御します。エンコーダやリニアスケールなどのセンサーを用いて、現在位置をフィードバックし目標位置に到達するまで動作を調整しています。
②高い再現性
同じタスクを何度も繰り返す際、位置制御コントローラは非常に高い再現性を持っています。製造ラインで部品の組み立てやピッキング作業などの繰り返し精密な動作が必要な作業に向いています。
2-3 位置制御コントローラの主な用途
①製造業の組立作業
組立ラインで部品を正確に配置し部品を組み立てる作業において、位置制御が使用されます。誤差が極めて小さく繰り返し作業が必要な場面では特に有効となります。
②ピッキング作業
ロボットアームが倉庫内で特定の位置にある商品を正確に掴み別の場所に移動させる作業において、位置制御コントローラは正確な物体の把握と移動に有効となります。
③半導体や精密機器の製造
ナノレベルの精度を必要とする半導体製造プロセスなどでは位置制御コントローラによる微細な位置制御が不可欠です。ロボットが正確な位置で作業を行うことで微細な製造作業が可能となります。
④溶接や加工作業
ロボットによる溶接や加工作業を行う際にツールの位置を正確に制御することで、ミスのない均一は加工が可能とまります。位置ズレが生じると加工不良や溶接ミスにつながるために位置制御が不可欠となります。
2-4 位置制御コントローラのメリット
①高精度な位置決め
位置制御コントローラは非常に精密な位置決めを行うことが出来るために製造業や組立作業において高い品質が求められる場合に最適です。
②再現性の高い動作
繰り返し作業において常に同じ結果を得ることが出来るために効率的な生産が可能です。
③汎用性
多くの産業用ロボットに適用できさまざまは用途に対応する柔軟性があります。
位置制御コントローラは性的なタスクは優れていますが動的な環境や予測不能な変化に対応する場合は力制御や自律制御などと組み合わせる必要があります。
※その他の制御方式について(参考までにその他の制御方式になります)
①軌道制御
位置制御ではロボットがただ単に視点から終点まで移動するのではなく、移動する際の軌道も制御されます。例えば滑らかな曲線を描いて移動するように設定したり特定の障害物を避けるために軌道を変えたりすることが可能です。
②フィードバック制御
エンコーダや他の位置検出センサーを使ってロボットが実際にどこにいるかをリアルタイムで確認し、それに基づいて位置のズレを補正します。このフィードバックにより位置誤差が最小限に抑えられます。
3.その他の種類のコントローラについて
3-1 速度制御コントローラ
・ロボットの各軸やエンドエフェクタの速度を制御します。
・ロボットのスムーズな移動や安定した動作を確保し速度を調整して聖堂の高い作業を実現します。物量行基でのピッキング作業などで使われています。
3-2 力・トルク制御コントローラ
・ロボットが接触する対象物にかける力やトルクを精密に制御します。人と協働するロボットや力を適切に調整する必要のある作業(例:組み立て・仕上げ作業)に適しています。
・力センサーからのフィードバックを受けたい勝負への接触力を調整して力がかかりすぎたり、弱すぎたりしないように制御を行います。
3-3 自立制御コントローラ
・自立ロボット(AMR)やドローンなどで使用される自己判断能力を持ったコントローラです。
・センサーやカメラ・LIDARなどのデータを処理し周囲の状況をリアルタイムで認識・判断して目的地までの経路を自動で選択します。倉庫管理や配送業務での自立移動などの事例があります。
3-4 ハイブリッドコントローラ
・位置、速度、力制御を組み合わせた複合的な制御を行うコントローラです。特に産業用ロボットで精密な動作や複雑なタスクを同時にこなすために使用されます。
・複数の制御モードを組み合わせ例えば、物体を持ち上げる際に位置制御と力制御を同時に行うなどより高度な作業が可能となります。
3-5 協働ロボットコントローラ
・人と協働するロボット(コボット)のために設計されたコントローラです。安全性と直感的な操作性が重要視されます。
・セーフティセンサーや衝突検知機能を備え作業者との安全な協働を可能にします。
3-6 分散制御システム
・複数のロボットや施設が連携するシステムで各装置に個別のコントローラを持ち、それぞれがネットワークを介して統合した動作を行います。
・各ロボットがそれぞれ独立したタスクを実行しながら、中央コントローラが全体のコントロールを行うため柔軟な生産ラインや大規模な自動化システムで活用されています。