ソリッドステートドライブ(英: solid state drive、SSD)とは 

集積回路を用いた補助記憶装置の一種のことです。シリコンドライブ、半導体ドライブ、メモリドライブなどとも呼はれます。主に記憶素子にフラッシュメモリが用いられており、PC上からは通常のディスクドライブとして認識されます。

1.ソリッドステートドライブの概要 

ハードディスク(HDD)が機械的な原理で動作しディスクに磁気的に記録するためにディスクを高速回転させヘッドと呼ばれる部分を物理的に移動させている構造に対し、SSDはデータ記録原理が根本的に異なり半導体で行っているので、機構部品が無い事に寄って振動に強く、データへのアクセス時の音がなく、ハードディスクよりも消費電力が少なく、軽量というメリットがあります。データの転送速度も、HDDの概ね5倍程度、というメリットがあります(2023年時点)。 

ソリッドステートドライブの転送速度は、たとえば2009年の第二四半期頃の有るメーカのSSDでは、読み出しが200MB/s、書き込みが240MB/sで、HDDの約5倍程度でした。2014年にはSATA 6Gbpsのほぼ上限で転送できるものも開発されたました。インターフェースにM.2及びNVMeが採用されてからはさらに高速化される様になりました。2016年には読み出し3,500MB/s、PCI Express Gen4となった2019年には5,000MB/s、翌2020年には7,000MB/sに達しました。これらは研究室レベルの発表ではなく、2018年時点で読み書きともに2,000MB/sを超えるNVMe製品も広く使われる様になりました。 

(*)NVMe:NVM Express (NVMe、エヌブイエムイー) もしくは NVMHCI (Non-Volatile Memory Host Controller Interface) はPCI Express (PCIe) で不揮発の補助記憶装置を接続するためのインターフェース規格の事です。AHCIに代わる次世代規格です。2021年7月の最新規格はRev.2.0です。NVMは不揮発性メモリ (Non-Volatile Memory) の頭文字の事です。 

(*)PCI Express:PCI Express(ピーシーアイエクスプレス)は、2002年にPCI-SIG(英語版)によって策定されました、I/Oシリアルインタフェース拡張バスの一種でもあります。書籍、文書ではPCIeと表記されることも多い様です。この表記はPCI-SIG自身もウェブサイト上で使用されている様です。PCI-Xはパラレルインタフェースの別規格でです。 

2.ソリッドステートドライブのメッリトとデメリット 

2-1ソリッドステートドライブのメッリト 

①高速な読み書き速度: 

SSDは、HDDよりも高速なデータの読み書きが可能です。これは、データを電子的にアクセスするため、物理的なヘッドを動かす必要がないからです。ファイルの読み込みやアプリケーションの起動が素早く行われます。 

②低消費電力: 

SSDはモーターがなく、データを記録・読み込みするための電力消費が比較的低いです。その結果、ノートパソコンやモバイルデバイスのバッテリー寿命を延長することができます。 

③静音動作: 

HDDはデータを読み書きする際にメカニカルな部品が動作し、騒音を発生させることがありますが、SSDは静音で動作します。 

④耐衝撃性: 

SSDは物理的なヘッドや回転ディスクがないため、衝撃に強い特性があります。これにより、データの安全性が向上します。 

⑤信頼性と耐久性: 

SSDはHDDよりも信頼性が高く、寿命が長いとされています。データの書き込みによる消耗が少ないため、より長期間使用できます。 

2-2ソリッドステートドライブのデメリット 

①高価格: 

SSDはHDDよりも高価です。容量が大きい場合には特に価格差が顕著になります。ただし、近年はSSDの価格が下がり、より手頃な価格帯の製品も増えてきています。 

②容量制限: 

大容量のSSDは高価であるため、HDDよりも多くのストレージ容量を提供することが難しい場合があります。ただし、容量が増えるにつれて価格が下がっていく傾向があります。 

③書き込み制約: 

SSDは一定回数のデータ書き込みに制約があります。この制約は徐々に改善されてきており、ほとんどのユーザーにとっては問題にならない程度ですが、長期間のヘビーユースにおいては注意が必要です。 

④パフォーマンスの低下: 

SSDのパフォーマンスは使用される容量によっても異なります。容量が一杯に近づくと、書き込み速度や読み込み速度が低下する可能性があります。 

⑤データの保持時間: 

SSDはデータ保持時間がHDDよりも短い。特に高い室温環境にて無通電状態で放置すると、数週間から数か月でデータが消失するおそれがあります。HDDの磁気記録そのものについては100年以上保持されるのに対し、SSDのデータ保持期間は10年前後との指摘もあります。 

フラッシュメモリ半導体は元々データ保持時間が有限であり、セルの微細化はそのままこの時間短縮となって現れています。HDDのように機構部品の寿命を除けば半永久的な情報保持原理のものと同じ感覚で扱うと、書き換え回数が少ない読み出し専用であっても2-3年程、早ければ1年も放置すればデータは失われてしまう恐れがあります。例えば、90nmのSLC型ではデータ保持時間が10年弱程度だったものがMLC型(2bit/cell)の50nm世代では5年前後に、MLC型40nm世代では2年前後、MLC型30nm世代では1年程になるそうです。さらに高温環境下で無通電状態だと数か月から数週間のスパンで消失のおそれもあるそうです。 

解決方法として通電時にコントローラで時間経過情報を参照し再書き込みを行うなどが考えられており、一部メーカで部分的に実装しているそうです。また、新しい低コスト化及び容量増加の手法としとしてNAND素子の3次元セル積層技術が注目されています。 

④の補足: 

SSD長期使用者や多頻度利用者(容量一杯まで書き込みを行うなど)から、書き込み性能が購入時よりも低下したという報告が多数上がっている様です。 

データを削除して空き領域となった所に再度書き込みが行われる際にデータの消去処理などが追加で実行されている可能性が高くなります。 

SSDは購入当初は書き込みの際、消去済みの初期化ブロックに対して”書き込み”だけをするために処理は速いです。しかし、HDDを想定した一般的なファイルシステムに於きましては、書き込まれたデータを削除して空き領域とする場合、ディスクの管理情報を書き換えることでデータをOSから見えなくするだけですので、実際にはデータそのものは消去されず、空き領域にそのまま残ることになります。  

SSDを使用し続けることでこのような「データが残っている空き領域」が増加していきますが、これらの領域はSSD側で一定のタイミングで消去されることはなく、そこへの新しいデータの書き込み命令があった時に初めて消去されます。消去処理は書き込み処理より約100倍の時間を要する事になり、単なる書き込みの度に“古いデータの消去+新しいデータの書き込み”のような2つ以上の処理を必要とするため処理速度が低下します。 

SSDは「消去を一括に広範囲で行う」という特性上、本来消す必要の無い領域まで余計に消去してしまうため、その領域については元の値を書き戻すステップが必要となります。「読み書きは2kB単位、消去は256kB単位」というデータの制御方法を例にとりますと、たった1ビットの値を書き換えるだけでも最悪のケースでは128回の読み込みと1回の消去、そして128回の書き戻し動作が行われることになります。 

2-3データの復旧 

歴史が長くノウハウが色々と蓄積され、データ復旧技術も確立されているHDDとは異なり、SSDにおいては故障時の完全なデータ復旧方法は確立されていないそうです。SSDはメモリチップへの書き込み方法が搭載されているコントローラチップに依存しており、コントローラがメモリに記憶した際のアルゴリズムが分からないと、データを復旧すことができないためです。「(SSDは)データ復旧作業そのものが現実的ではない」と指摘する声もあります。 

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