DNS(Domain Name System)サーバとは 

コンピュータ・ネットワークにおいて、Domain Name System(DNS)の機能が実装されたサーバの事です。 

1.概要 

IPネットワークでは「IPアドレス」と呼ばれる数値列で機器やネットワークを識別しますが、DNS(Domain Name System)という仕組みにより、我々にとって親しみやすい文字や記号を組み合わせた「ドメイン名」(個々の機器を指すものはホスト名とも呼ばれる)と呼ばれる別名を付与することが出来ています。 

このドメイン名やホスト名と、対応付けられたIPアドレスなどの情報を記録・管理し、外部からの問い合わせに応答するコンピュータやソフトウェアのことをDNSサーバと言います。 

ドメイン名は階層構造になっており、各階層のドメインの管理権限は上位ドメインの管理者から委譲されます。DNSサーバもこれに従って階層構造で管理されており、上位ドメインのDNSサーバは下位ドメインのすべての情報を管理しているわけではなく、下位ドメインを管理するDNSサーバの所在(IPアドレス)のみを把握しいます。 

例えば、ある特定のホスト名の問い合わせを行うには、世界の十数か所に設置された最上位の「ルートサーバ」(root server)にトップレベルドメイン(.jpや.comなど)のDNSサーバの所在を尋ね、トップレベルドメインのDNSサーバにセカンドレベルドメイン(co.jpやexample.comなど)のDNSサーバの所在を尋ね…という手順を再帰的に繰り返し、最下層ドメインのDNSサーバから対応するIPアドレスの情報を聞き出すという手続きが必要となります。 

2.権威DNSサーバ(DNSコンテンツサーバ) 

権威DNSサーバ(DNSコンテンツサーバ)は、Domain Name System(DNS)の一種でです。インターネット上でドメイン名とIPアドレスを対応づける重要な役割を果たすサーバです。DNSは、例えばWebサイトにアクセスする際に、人間が覚えやすいドメイン名(例: example.com)をコンピュータが理解できるIPアドレス(例: 192.0.2.1)に変換するシステムです。 

権威DNSサーバは、特定のドメインのDNS情報を保持している唯一の正当な情報源となるサーバです。例えば、example.comドメインの権威DNSサーバは、example.comドメインに関するすべてのDNSレコード(Aレコード、MXレコード、CNAMEレコードなど)を保持しています。 

ユーザーがWebブラウザなどを使ってexample.comにアクセスしようとすると、以下のようなプロセスが行われます: 

①ユーザーがWebブラウザに”example.com”を入力します。 

②ブラウザは自身のコンピュータに設定されているローカルDNSサーバ(通常はISPが提供するもの)に問い合わせます。 

③ローカルDNSサーバは自分のキャッシュに対象のドメインの情報があるか確認します。もしキャッシュに情報があれば、それを使って解決します。 

④キャッシュに情報がないか、情報が古くなっている場合は、ローカルDNSサーバはTLD(Top-Level Domain)サーバに問い合わせます(例:comドメインを担当するTLDサー バ)。 

⑤TLDサーバは、example.comドメインの権威DNSサーバのアドレスを教えてくれます。 

⑥ローカルDNSサーバは、得られた権威DNSサーバに問い合わせを行い、example.comドメインに関連するIPアドレスなどの情報を取得します。 

⑦ローカルDNSサーバは得られた情報をキャッシュし、同時にユーザーのブラウザにIPアドレスを返します。 

⑧ユーザーのブラウザは、得られたIPアドレスを使ってexample.comサイトにアクセスします。 

このような仕組みにより、権威DNSサーバは特定のドメインの正確なDNS情報を提供し、インターネット上の通信を円滑に行うのに役立っています。権威DNSサーバは一般のユーザーが直接アクセスすることはなく、主にISPや企業、大規模なWebホスティングサービスなどが運用しています。 

(*)ISP: インターネットサービスプロバイダ(英語: Internet Service Provider)とは、インターネット接続の電気通信役務を提供する組織のことで。一般的にプロバイダやISPなどと略して呼ばれることが多いです。日本では、電気通信事業者であり、インターネット接続事業者(略して接続事業者)と訳されることがあります。回線事業者がプロバイダ業も兼ねて提供している会社と回線事業者の回線を使ってプロバイダのみサービスを提供する会社に分かれます。 

3.プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバ 

プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバは、DNS(Domain Name System)のシステムにおいて異なる役割を果たすサーバです。DNSは、インターネット上のドメイン名(例:example.com)をIPアドレス(例:192.0.2.1)に変換するためのシステムであり、Webサイトやメールサーバーなどにアクセスする際に利用されます。 

プライマリDNSサーバ: 

プライマリDNSサーバは、特定のドメイン(例:example.com)の全てのDNSレコード(ドメイン名とIPアドレスの対応情報)の権威を持っている主要なサーバです。つまり、そのドメインに対する情報を管理・保持しています。ドメインに変更がある場合や新しいレコードを追加する場合、これらの変更はプライマリDNSサーバに行われます。そして、セカンダリDNSサーバに変更内容を複製して配信します。 

セカンダリDNSサーバ: 

セカンダリDNSサーバは、プライマリDNSサーバから情報を複製して保持するサーバです。プライマリDNSサーバからの情報をミラーリングしているため、セカンダリDNSサーバはプライマリと同じドメイン情報を持っています。セカンダリDNSサーバの役割は、冗長性を確保することと、トラフィックの分散を行うことです。つまり、利用者がDNS情報を取得する際、プライマリDNSサーバだけでなく、セカンダリDNSサーバからも情報を取得できるため、より高い可用性が実現されます。 

プライマリDNSサーバとセカンダリDNSサーバの組み合わせは、信頼性とパフォーマンスを向上させるために広く利用されています。プライマリがダウンした場合でも、セカンダリが引き続きDNS情報を提供できるため、サービスの中断を最小限に抑えることができます。 

4.DNSキャッシュサーバ 

DNSキャッシュサーバは、Domain Name System(DNS)の機能を提供するサーバの一種です。 

DNSキャッシュサーバは、合わせ結果を一時的に保存しておく役割を持ちます。なぜキャッシュが必要なのかというと、インターネット上では多数のリクエストが同時に行われるため、同じドメイン名に対するIPアドレスの問い合わせが頻繁に行われます。DNSキャッシュサーバは、このような繰り返しの問い合わせに対して、DNSサーバまでリクエストを送ることなく、以前に取得した結果を自身のキャッシュから提供することができます。 

このように、DNSキャッシュサーバを使用することで、ウェブページの読み込み速度を向上させることができます。キャッシュによって、DNSサーバへの負荷が軽減され、ユーザーがウェブサイトにより早くアクセスできるようになります。 

大抵のインターネットサービスプロバイダ(ISP)や組織内のネットワークには、DNSキャッシュサーバが設置されており、利用者のDNS問い合わせに対応しています。 

5.優先DNSサーバと代替DNSサーバ 

優先DNSサーバと代替DNSサーバとは、両方ともインターネット上のドメイン名をIPアドレスに変換するためのDNS(Domain Name System)サーバですが、役割や使用方法においていくつかの違いがあります。 

優先DNSサーバ(Primary DNS Server): 

優先DNSサーバは、最初にクエリが送信されるメインのDNSサーバです。デバイス(コンピュータ、スマートフォン、ルーターなど)は、通常、この優先DNSサーバに対してDNSクエリを送信します。優先DNSサーバは、ドメイン名をIPアドレスに解決する責任を持ちます。もし優先DNSサーバが正常に応答しない場合、代替DNSサーバに問い合わせを行う事になります。 

代替DNSサーバ(Secondary DNS Server): 

代替DNSサーバは、優先DNSサーバが利用できない場合や応答が遅い場合に、代わりにクエリに応答するDNSサーバです。代替DNSサーバはバックアップとして機能し、冗長性を確保するために設定されます。優先DNSサーバがダウンしたり、混雑している場合には、代替DNSサーバが動作して、クエリに対応します。 

要約すると、優先DNSサーバは通常最初に問い合わせされるメインのDNSサーバであり、代替DNSサーバはバックアップとして使用され、優先DNSサーバが利用できない場合に代わりに応答します。これにより、ネットワークの信頼性と可用性が向上し、ユーザーがスムーズなインターネット接続を維持できるようになります。 

ISPなどでは二系統以上のDNSキャッシュサーバを用意して、利用者にそのうちの二つを設定するよう周知しています。同じ運営主体のDNSサーバは同時にアクセス不能になるリスクが高いため、代替DNSサーバをインターネット上のパブリックDNSサービスに設定する利用者もいます。 

モーションコントロール、ODM開発のご相談は東阪電子機器へ

大切にしているのは、お客様とのコミュニケーション。
22業界・1,700機種の開発実績を有する弊社の専門スタッフが、
お客様のお困りごとに直接対応させていただきます。