UPSとは

英語表記【UPS(Uninterruptible Power Supply)】

UPS(無停電電源装置)とは,停電が起きてしまったときに電気を一定時間供給し続けるための電源装置です。

1.概要

UPS(無停電電源装置)は、主に商用電源から電力を受ける装置と電力を蓄積する装置から一定規格の電力(一般的には、商用電源と同様のもの)を供給する装置で構成されています。接続している商用電源がOFFになったときは、UPSに蓄積していた電力を供給し、瞬時電圧低下や停電が機器に対して起こらないようにしている装置の事です。UPS(無停電電源装置)で対応できる停電時間はおおむねで、数分から1時間程度のものが多いです。

UPS(無停電電源装置)の能力を超える時間の停電対策については発電機などとの組み合わせで行う方法がコスト的にもベストな選択です。
停電後、UPS(無停電電源装置)からの電力の供給が続いている間に、コンピュータなどの機器のシャットダウンをおこない大切なデータを守る使い方が一般的な使い方です。
パソコンなどの機器は通常使用中(通電状態)にいきなり電源がOFF(遮断)状態になると内部の大切なデータやシステムが破損することがありますので、正しい方法で終了作業(シャットダウン)を行う必要があります。

★急に停電が起こるとどのようなことが起こるか<UPSの必要性>

①作業中のデータが消える
ノートパソコンの様にバッテリー駆動でないディスクトップパソコンでは、停電等によってパソコンへの通電が遮断されると突然電源が落ちます。その時保存されていない作業中のデータは全部消えてしまいます。
使用しているアプリによっては一定間隔で自動保存する機能が備わっている場合がありますが、通常は編集以前の状態になります。

②保存していたデータが壊れる?!
作業中のデータではなく、すでに保存しているデータは問題ないのでしょうか。
いきなり電源が落ちてパソコンが強制終了すると、必ずしも無事とは限りません。
例えばハードディスクへの読み書きの最中に電源が落ちてしまった場合に、ハードディスク内部にすでに保存されているデータも消失する可能性があります。あるいは内部のデータが消えるだけではなくハードディスク全体が故障して使用することができなくなる可能性があります。
このような事が発生するとその時のデータに限らずそれまでに保存(作成)していたデータはバックアップを取っていないと復元できなくなります。

③OSが起動できなくなる
ハードディスクの中には、文書などのファイルデータだけではなくそのコンピュータのOSを起動するのに必要なデータも保存されています。そのデータが壊れているとOS(ソフトウエア)を起動することが不可能になります。
その時にコンピュータの再起動を行うとファイルが再設定されOSが起動する場合がありますが、これはコンピュータの専門知識等が必要な作業になる場合もあります。このような事になると最悪です。

④インターネットに接続ができなくなる
停電などで影響を受けるのは、コンピュータなどだけではなくその周辺機器も同様に影響を受けます。インターネット接続用のルータなども停電の影響を受けて電源が落ちるとインターネットに接続ができなくなります。

2.UPS(無停電電源装置)の役目(用途)について

UPSとは、ノートパソコンにおけるバッテリーのようなものと思われているかもしれませんが、少し違います(半分位はあっています)。停電時でも気にせずに使用し作業を継続できるものではないです。そのような使い方もバッテリーを大容量にするなり、拡張バッテリーの使用などで可能ですがコストがかかります。
比較的小規模企業などやSOHOなどでの利用は「停電したときにその機器(コンピュータや周辺機器)を手順に通りに停止・シャットダウンする時間を稼ぐ用の装置と思われたほうが良いです。コスト的にもそのほうがメリットがあります。その機器を手順通りに停止・シャットダウンを行えば、先ほどの1-①②③で述べたような不具合が発生することはありません。
また、停電ではなく「瞬低」は停電に比べて発生頻度が高いので瞬低対策としてのUPSの利用は効果的な利用方法です。瞬低であってもその機器が落ちてしまっては、停電と同じことになります。

(*)瞬低:短時間、瞬間的に発生する停電のことを言います。どの位短時間の停電を指すのかはケースバイケースですが、電力会社では、概ね1分未満の停電を指すケースが多い様です。「瞬停」と同様の言葉として「瞬断」や「短時間停電」という言葉があります。「短時間停電」も日本産業規格(JIS)によると1分を超えない供給電圧の消失と定義されており、同じ意味の言葉として扱われています。


「瞬低」は必ずしも電力会社の要因のみとは限りません。ご使用の環境の近く(同じ工場など敷地内)で電力消費の大きな機器が動作したときなど電源電圧が影響を受けて「瞬低」と同じ様な現象になることがあります。
このような「瞬低」が発生した時にUPSが役立ちます。
 実際の電力会社に要因のある「瞬低」の場合の瞬低時間は数十msから1-2s程度ですので、それほど容量のおおきなUPSを用意しなくても「瞬低」には十分に対応することができます。

3.UPS(無停電電源装置)のしくみ

①UPSには通常バッテリーが搭載されています。停電などが発生した時には搭載しているバッテリーからの給電に自動的に切り替わることでUPSに接続している機器は停止することなく動作し続けます。
ただし供給できる電力の時間には限度がありますので注意が必要です。
また、UPSに搭載しているバッテリーには寿命がありますので、一定期間での交換やメンテナンスが必要となります。

②UPSは停電時に商用電源に代わって電力を供給してくれますが、搭載しているバッテリーの電力がなくなれば電力供給を継続することはできなくなります。停電は昼夜を問わずいつ発生するかわかりませんので、無人の状態でも対応ができるためにも停電時には自動的に対象の機器が停止できる環境がベストです。

③UPSの電力供給方式にていて
・常時商用電力給電方式UPS:
通常時は商用電力を供給し、停電や瞬低時にバッテリー供給に切り替える方式です。通常時は商用電力を供給しながら搭載しているバッテリーに充電をおこなっています。ただし、停電時商用電力から搭載しているバッテリー駆動への切り替え時のタイムラグが発生しますのでこのタイムラグに耐えうる機器であることが前提となります。コスト的にはメリットが大きいのでこのタイプのものが多く使用されています。
・常時インバータ給電方式UPS:
常時インバータからの給電を行う方式です。
通常時はUPSの内部で商用電源の交流電力を直流に変換します。変換された直流電力は,一方は蓄電デバイスに充電し,もう一方はインバータで再び交流に変換して,電気機器に供給します。停電時もインバータを経由して電力を供給する方式なので給電時の切り替え時に電圧変動が起こらずに無瞬断で給電できます。常にインバータを経由するので,信頼性の高い給電方式となりますがその分コストがかかります。この方式の最大の注意点は常時インバータ出力すなわち、常にインバータ回路に使用している電子デバイスに出力電力が流れます。負荷変動が大きいような負荷やピーク電力が流れるような負荷の場合使用している機器(UPS)の絶対最大値を超えてはいけないので注意が必要です。
(*)絶対最大定格:
半導体では絶対最大定格はたとえ一瞬でも超えるといけない定格です。超えると最悪その機器(素子)が破損に至るおそれがあります。

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