ドローンとは遠隔操作や自動操縦にて無人で飛行する航空機のことになります。
1.概要
①ドローンの語源
語源は諸説あるようです。
英語でオスの蜂を意味する「drone」を意味します。ドローンの飛行時の音が蜂が飛んでいる音と似ているからという由来です。また、第二次世界大戦時イギリス軍で使用されていた射撃訓練用標的飛行機「クイーン・ビー」(女王蜂)という名前から名付けられたとの話もあります。
②ドローンの定義
ドローンは、「無人航空機」のことを指すことが多いです。
無人航空機に対して人間が搭乗して操縦する従来の航空機を有人機と表現します。また日本では100グラム以下の機体は航空法上、無人航空機とは呼ばず模型航空機と呼ばれます。
(*)2022年6月20日に航空法の規制対象になるドローンの重量が200g未満から100g未満に引き下げられました。
③ドローンの課題
ドローンはプログラムによる自律飛行又は一部を自動化され半自立飛行が可能な機体もありますが、多くは遠隔操作(主に無線)によって操縦を行います。またGPSなどを用いて位置を修正しながら飛行するものも実用化されつつあります。完全無人化は有人機に比べて衝突回避など信頼性面で課題が有るようですが完全無人化の実用も近いようです。
2.ドローンの活用方法
2-1 娯楽(趣味)としてのドローン
一般的によく知られているドローンは、カメラを搭載した空撮ができるドローンです。最近では事業用の動画撮影にも活躍していますがラジコンのように、単純に飛行することを他のしむドローンなど数多くがあります。趣味で楽しむドローンは購入価格帯も幅広く安価に購入できます。またスポーツ競技としてのドローンもあり、国内・国外を問わず数多くのドローンレースが開催されておりドローンの操縦の腕前や速度を競っています。
2-2 産業用としてのドローン
産業用ドローンで代表的に使用されている分野です。
・土木分野(測量):
カメラを搭載した産業用ドローンで土地の状態を空撮してデータ化・図面や3Dモデルの作成を行います。撮影したデータはそのまま活用できるので、地上で測量するよりもはるかに短時間で時間が短縮できるだけでなく、コスト削減も可能となります。また、人が入れない危険な場所でも測量できるというメリットもあります。
・メディア分野:
テレビ番組や映画・CMの製作の際にも産業用ドローンが空撮した映像が使用されています。またスポーツ中継や報道番組などでも、産業用ドローンが活躍中しておりこのような映像をよくみかけるのではないでしょうか。
メディアに使用されているのは、高画質カメラが搭載されているほか、飛行制御機能が充実している高品質・高機能な産業用ドローンです。
・農業・林業分野:
産業用ドローンは農薬散布にも広く使われています。中には10エーかを約1分で散布できるドローンもあるので、作業の時間短縮や作業者が農薬など薬剤などの影響を受けにくいのも特徴です。
森林調査や鳥獣害対策、生育状況を確認するセンシングにも産業用ドローンが導入されています。
・災害時(公共事業):
これは「メディア・撮影」に共通する内容になりますが。
産業用ドローンは災害時の現状把握にも役立ちます。空から現場を撮影することで、どのような被害があるのか救助が必要な人がどれくらいいるのかを把握することによって、迅速な救助活動に繋がることになります。
3.ドローンの構造
・ロータ(プロペラ)
ロータは、揚力と推進力を得るための羽です。多くの場合、モータに直結されますが、種類によってはギアを介してロータを駆動していることもあります。ロータの大きさは、ドローンの重量・要求される使用(性能)によって決定します。ドローンの出だした初期は、ラジコン飛行機用のプロペラを流用することも多かった様ですが、最近ではドローン専用のロータも増えてきています。
・モータ
ロータを回転させる部品がモータとなり言い換えればエンジンです。小型のドローンでは、直流(ブラシ付)モータが使用されています。中~大型のドローンではブラシレスモータと呼ばれるタイプのモータが使われます。
・各種センサ
機体の姿勢や状態、位置などを検知するために、さまざまなセンサが用いられます。
各速度(ジャイロセンサー)・加速度センサ・気圧センサ・磁気方位センサ・GPSなどがあります。
・ESC
SC(Electric Speed Controller)は、モータを制御する電子回路です。言い換ええると頭脳です。各種センサからの信号と操縦者からの指令入力をモータに伝えてドローン本体の姿勢を制御(安定)させ希望する方向に飛行させる制御などを行っています。
・フレーム
ドローンに必要な各部品であるロータ・モータ・各種センサ・ESCなどを格納(乗せる)するいわゆる入れ物(枠)です。
・バッテリー
モータを駆動する動力源・ESCなど電気回路を駆動する電源として使用します。バッテリーの容量は大きいほどドローンの飛行距離は伸びますが、その分重量が重くなり航続距離に影響が及びます。重量と後続距離のバランスが難しいです、最近は小型大容量のバッテリーが増えてきていいますのでドローンにはうってつけです。
代表的な構成部品について説明をいたしました。
4.ドローンの法的規制
・航空法による規制
以前の航空法では目視で操縦するラジコンが想定されていました、2010年代以降安価なマルチコプターが市販されるようになり、空撮中の墜落や空港への誤侵入・目視出来ない距離での飛行などの問題が発生するようになりました。
日本では2015年に航空法が改正され「無人航空機」が定義されました。「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(100gの重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」となっています。
従来からあったラジコン飛行機やラジコンヘリなども、ほとんどが「遠隔操作や自動操縦が可能な無人飛行体」として無人航空機に含まれます。ただし、単純な構造のゴム動力飛行機などは、この定義には含まれないとの事です。
また、最大離陸重量150kg以上の無人航空機はこの法律の無人航空機ではなく通常の航空機に近い「無操縦者航空機」として扱われて、必要とする資格や適用される法律等が異なります。
・小型無人機等禁止法による規制
(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律)政府関連施設・首相官邸・国会議事堂・皇居・原子力発電所などの重要施設周辺おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行は原則禁止されています。
・文化財保護法による規制
寺社・近代建造物といった重要文化財周辺でのドローン飛行は原則禁止されています。
・電波法による規制
特定の周波数帯を使用するドローンのうち「技適マーク」や「微弱無線適合マーク(ELPマーク)」が表示されていないドローンについては、総務大臣の免許や登録が必要となります。
使用する周波数・送信出力によっては免許が必要となります、また一部アマチュア無線周波数を利用するものがありますがアマチュア無線はあくまでも金銭上の利益を目的としての運用はできませんので、業務目的の場合は注意が必要です。
(*)アマチュア無線:アマチュア無線周波数の利用にはアマチュア無線従事者免許および、アマチュア無線局免許が必要です。
携帯電話の利用:利用エリア・高速通信・大容量データ伝送が可能な携帯電話ですが、携帯電話システムは地上での利用を前提に設計されているのでドローンなどで使用すると色々と問題が有るようですが一定の条件の下で携帯電話端末の利用が可能となっています。