「Wi-Fi6」について

1.そもそもWiFiとは 

WiFiは「ワイファイ」と読みます。 

 例えば、ご自宅でパソコン、スマートフォンを起動しSNSや動画・天気予報・ニュースなどの色々な情報が閲覧できているかと思います。これらはご利用になっている端末*1がインターネット環境に接続しているから情報が端末に入ってくるのです。 

端末とインターネットを接続するにはルータ*2が必要で、このルータには有線LANと無線LANの2種類の方式があります。WiFiとは端末とインターネット環境を無線LANで接続することをいいます(厳密には無線LANイコールWiFiではありません)*3。 WiFiは有線LANとは違って、端末と有線ケーブルで接続する必要がないので邪魔なケーブルが減ってスッキリしてWiFiの電波の届く範囲であればインターネット環境に接続することが出来ます。 

*1端末:パソコンやスマートフォンなどインターネット環境に接続している機器の事を言います。 

*2ルータ:端末をインターネット環境に接続するための交通整理をする機器です。 

プロバイダーと契約したインターネット回線も必要です。 

*3無線LAN=WiFiや無線LANが登場した当時は規格が統一されていなかったので、製品によっては接続できないものが有りました。それでは不便であるので、無線LANの規格を定められました。その後、WiFiはその規格に準拠するようになり、製品間での相互接続が出来るようになり現在に至っています。 

2.「Wi-Fi6」とは 

「Wi-Fi6」は2019年9月に提供がスタートした最新のWiFiの規格になります。正式な規格名称は「IEEE802.11ax」といいます。 「IEEE802.11ax(アイトリプルイー ハチマル二 エイ エックス)」では覚えにくいとのことで、無線LANの製品の普及等を行っている業界の団体である「Wi-Fi Alliance」によって正式名称が「Wi-Fi6」とされました。Wi-Fi6は名称の通り6番目のWiFiの規格で今までの規格と比べて最大通信速度が速い事がその特徴になります。 

ここで今までのWiFiの規格(速度)については次の通りです。 

【WiFi規格の最大通信速度】 

IEEE802.11ax(WiFi6):9.6Gbps 2.4GHz/5GHz帯域 
IEEE802.11ac(WiFi5):6.9Gbps 5Ghz帯 
IEEE802.11n(WiFi4):300Mbps 2.4GHz/5GHz帯域 
IEEE802.11g:54Mbps 2.4GHz帯域 
IEEE802.11a:54Mbps 5GHz帯域 
IEEE802.11b:11Mbps 2.4GHz帯域 
IEEE802.11:2Mbps 

(数値はあくまで理論上の最大値であり、接続機器や接続環境などにより変動します。) 

 確かに「IEEE802.11ax」みたいにアルファベットや数字の羅列では一般にはなじみにくいですね。「Wi-Fi6」の方がわかりやすいですね。 

また、「WI-Fi6」は以前の規格よりも高速な通信環境だけではなく、回線の混雑にも強い仕様となっており、複数の機器で同時に通信を行っても通信に負担が少なく通信を行うことが出るようになっています。 

3.WiFi6のメリットは 

Wi-Fi6を導入することで「通信スピードの高速化」「複数端末の同時利用時の通信負荷低減」「消費電力の抑制」「セキュリティ面の強化」というメリットがあります。ここでは各メリットについて従来規格との比較をしながら説明をします 

①通信速度が速くなります 
インターネット上で、情報の送受信や音声・動画コンテンツの視聴、インターネットゲームのプレイ、Webサービスの利用などを行う時には、大容量のデータ送受信が必要となります。近年では動画や音楽のサブスクリプションサービスの普及が増えています、利用者からは映像やデータ表示の遅延が起こりにくい高速ネットワーク通信を要求する声が増えてきています。その中で、「Wi-Fi6」は以前の規格であるWi-Fi5に比べ、最大通信速度で約1.4倍高速通信が可能になっています。 
 
データ送受信にかかる時間が早くなることで、8Kや4Kなどの高画質な映像コンテンツの聴取や、大量の情報送受信を必要とするネットゲームの配信も快適行えます。さらにテレビ会議やオンラインセミナー、チャットツールなどのネットワークシステムの利用もスムーズになり、ストレスフリーなビジネス環境の構築が実現しています。 
 
しかも、Wi-Fi6は2.4GHz帯と5GHz帯と両方の周波数が利用できるため、電波の状況に合わせて適切な周波数に接続に変更することで、より快適なネットワークの利用を行う事が出来ます。 

②複数端末を利用しても快適 

近年ではパソコンやスマートフォンだけでなく、テレビ、冷蔵庫、エアコンといったスマート家電やIoT機器など、ネットワークに接続利用できる機器数が増加してきています。 

以前の規格のWiFiでは複数の機器が同時に接続を行うと、ネットワークへの接続遅くなり、回線の混雑による順番待ちによる遅延が発生することがありました。しかし、Wi-Fi6では「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」と呼ばれる無線通信方式の技術を採用したことで、複数デバイスの同時接続が可能となりました。 

この直交周波数分割多元接続では同じ周波数帯域での通信でも従来のWi-Fiよりも多くのデバイスが通信可能にできる設計になっており、機器が多く使用されるオフィスだけでなく、空港や駅、ショッピングモールといった通信機器が多く使用される環境でも快適に無線通信「WiFi」を利用することが可能になります。 

③消費電力が抑えられる 

消費電力が押させられることは、数年規模で動き続ける必要があるIoT機器やスマート家電などの電池駆動の機器では電池の交換時期がながくなることは重要な事です。「Wi-Fi6」ではTWT(Target Wake Time)*4という技術を活用することで、接続している側の機器の電力消費を低減しバッテリー消費を低減できる様になりました。 

* 4 TWT:データ通信するタイミングをコントロールする技術で、通信する必要がない時は子機側をスリープモードにします。そのため、結果的にバッテリーが長持ちするのです。また、スマートフォンやタブレットのような利用頻度の高いデバイスのバッテリーを長持ちさせられるため、機器そのものの寿命を延ばすことにつながり、買い替えコストを削減できます。 

④セキュリティの強化 

「Wi-Fi6」では新しいセキュリティの規格「Wi-Fi CERTIFIED WPA3(以下WPA3)」が必須条件として組み込まれています。WPA3は、WPA2の後継です。従来のWPA2よりも強固なセキュリティが特徴で、SAE(Simultaneous Authentication of Equals)ハンドシェイクと呼ばれる同時認証技術を利用することで、オンライン上で発生する攻撃に対して対応してくれます。 

さらにWAP3は通信ごとに異なるセッションキーを生成することができるため、前方秘匿性*5が生まれます。SAEはパスワードの強化もできるため、より安全な暗号化通信を行います。 

*5 前方秘匿性:将来に渡ってそのデータの秘匿性が守られることです。 

  鍵交換に使用した秘密鍵の漏洩があっても、過去の暗号分を解読することは出来ません。 

WPA3には個人向けの「WPA3-Personal」と企業向けの「WPA3-Enterprise」の2種類があります。WPA3-Enterpriseでは暗号化アルゴリズムとして192ビットのCNSA(Commercial National Security Algorithm)も追加されます。この技術はアメリカの国家安全保障局が採用している暗号化アルゴリズムですので、非常に高いセキュリティが特徴です。 

4.「Wi-Fi6」のデメリット 

「Wi-Fi6」は非常に良い技術・規格ですが、新しい技術・規格ですので、対応しているルータやスマートフォン、IoT機器などの周辺機器が現時点では少ないので、価格が高額となっています。 

今はまだ「Wi-Fi6」に対応したデバイスなどは少ないですが、今後は多くのデバイスなどで採用されていくことが見込まれる為、「Wi-Fi6」が普及すれば価格はお手頃な価格に落ち着くと思われます。今後に期待しましょう。 

おまけ:最大速度について 

 「Wi-Fi6」の最大速度は9.6GbpsでWiFi5の6.9Gbpsと理論値では約1.4倍と高速化しています。 

 WiFi5までの従来の規格では、規格に定められた技術仕様(速度)に追従できていないとの指摘もされています。理論上の最大速度より遅い800Mbps程度とも言われています。「Wi-Fi6」で実際の使用状態高い応答性を記録しているとの事です。 

「Wi-Fi6」はいままでより体感的に理論値約1.4倍以上を体感出来そうです。 

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