1.モーションコントロールとは
モーションコントロールとは、「動きを制御する」を意味しています、工作機械や産業機器などの装置を動かすために必要なさまざまな技術の総称です。具体的なものとしてはサーボモータやステッピングモータで駆動する機器(装置)の動きを制御(コントロール)する装置のことです。
各種モータの制御すなわち、位置制御・速度制御・トルク制御にて電気的なエネルギーを機械的な運動エネルギーにモータを介して変換します、その運動エネルギーを得るためにモータを制御(コントロール)することで目的の動き(モーション)を実現させるためにプログラムを行います、これをモーションコントロールに実行させて機器(装置)の動き(モーション)を制御(コントロール)させるものです。このような技術は、工作機械・半導体製造装置・ロボットの制御などの大きな担い手となり近年の設備投資は大きく成長しています。
2.なぜモーションコントロールが必要か
例えば、ロボットで箱を持ち上げ円弧状に並べる動作を行わせようとすると複数のモータを1パルス単位で非常に繊細な精度で同期制御を行いながら加速・減速の処理を行いながら速度制御や位置決め動作を行います、特に加減速時の振動の抑制等も制御する必要が有ります。
この様に円や円弧を描くという一見簡単に見える動作でも実は複雑な演算処理が必要でそれを行ってくれるものがモーションコントロールです。
装置メーカなどのユーザ様では通常、それまでに構築した自社のノウハウなどでよりよい生産性を追求したマシンを作るために日々努力を惜しまず開発をされていることでしょう。しかしCPUなど周辺ハードウェアやソフトウェアの進化は著しいものです、これらのユーザ様がこれらのすべて自社で行おうとすると負担が大きく非効率です。
そこで、すでに完成しているモーションコントロールを御使用していただければその負担を軽減でき、ユーザ様は装置の開発に専念出来るので効率よく装置の開発が可能となります。
3.モーションコントロールの概略構成図
モーションコントロール単独ではただの箱(基板)です。
目的の動き(モーション)に応じたモータを選定*1し、そのモータに応じた駆動装置(ドライバー)を選定します。 選定したモータの軸数に対応したモーションコントロールも選定する事になります。
まずは、その動き(モーション)をモーションコントロールに指令を与えます、この指令はそのモーションコントロールによって各種有りユーザ様の仕様に合わせて選定します。
一般的には上位コントローラからモーションコントロールに動作指令を与えると、モーションコントロールはドライバーに指令*2を出しモータの制御回路によりモータを回転させることで意図した動き(モーション)を行わせます。
ステッピングモータはオープン制御*3と呼ばれ指令に応じた移動を行いフィードバックは有りません。
サーボモータの場合はクローズ制御と呼ばれ、移動指令に対しての移動フィードバックを受け取って正しく指令された位置に移動します。
*1:移動速度や負荷に応じたモータを選定します、小さなビスを1個ずつ運ぶような装置にトラックを持ち上げる様なパワーのモータを用意しても意味が有りません。
必要とするトルクに応じたトルク(パワー)を発生してくれるモータを用意します。
*2:一般的にはパルス出力が多いですが直接移動指令(通信などで)を与えるタイプなど各種有ります。
*3:システム的に簡単な構造ですが、欠点として急激な動き(急な加速・減速)をさせようとすると脱調現象(ステッピングモータ特有の現象です)を起こしモータが回転しなくなります。
・具体的なアプリケーション(使用)例
ここで紹介するのは当社が設計・製造をした「はんこ自販機」です、といっても普段はんこ屋さん等で良くみるすでに出来上がっているはんこを選ぶのではなく、その場でお客様が希望する名前等のはんこを10~15分ほど度で作成しその場で受取持ち帰る事が出来る装置です。またはんこケースも販売しています。
おおまかな構成としては次の内容です。
・モーションコントロール(3軸ステッピングモータドライバー内蔵の モーションコントロールセンターの大きな
基板です)
・ステッピングモータ(3軸)
・パソコン
・タッチパネル:はんこの種類の選択・彫りたいはんこの印影の入力等を行って います。
データ入力だけではなく、はんこ作成中は作成中のはんこの進捗状況を表示 したり、はんこに関する一口メモ等の情報を表示する等の機能ではんこ作 成中の時間購入し完成を待っているお客様を退屈させません。
・自動販売機ですのでお金を投入する為の金銭ユニット(紙幣とコイン) 当然お釣りもでます。
・ハンコを作成(印材を彫る)する機構(当社で設計開発)
・ルータ(はんこの印材を削る刃物をつけたモータ)
欲しいはんこの種類(実印サイズ 銀行印サイズなど)をサンプルから選んでディスプレイから各種はんこ(サイズ)を決定めたら、タッチパネルで作りたいはんこの名前(デザイン)を決定するとお金を投入しスタートです。
その印影を作成するためにはどのようにはんこ(印材)を彫(削る)ればよいかをパソコンで計算しモーションコントローラに指令をだします。
はんこ(印材)を掘る器具の位置決めを行いはんこ(印材)を彫(削る)ります。
このときはんこを削る必要が多い名前は時間が掛かります、一概には言えませんが画数の多い名前の方が早い時もあります。
完成すると当然ですが、自動的に取り出し口に出てきます。
はんこ自販機では、モーションコントロールはタッチパネルで入力した情報を取り込んだパソコンからのデータ、金銭ユニット(紙幣とコイン)に投入したお金(金額)のデータをRS232C・USB通信などの通信で情報交換を行って取り込んでいます。
当然ですが投入した金額でお釣りが必要なときはお釣りの出す制御(指示)も行いお釣りを返しています。
この様にはんこ自販機は当社が創業から培ってきた各種技術で出来ています。
モーションコントロールにステッピングモータドライバーを内蔵し一体化し、パソコンとはUSB通信を行い、金銭ユニットとはRS232Cでデータ通信を行い装置(はんこ自販機)全体の制御を行っています。
・モーションコントロールにおける当社の強み
下図の赤枠は当社のモーションコントロールの一例です。
ここで説明するモーションコントロールは1軸のステッピングモータドライバーを内蔵しており最大16軸まで増設対応可能な通信制御対応のモーションコントロールです。図は一例として4軸(4台)接続した例です。
コントローラとドライバーを一体化することで省スペースを実現しています。
さらに上位(PC・タッチパネル・PLC)とは各種通信で行っています。
この例は1軸のステッピングモータドライバー内蔵のモーションコントロールですが、はんこ自販機で説明した様に2軸以上の多軸のモーションコントロールの様にユーザ様の仕様に合わせた(ODM)対応の開発・生産・販売もいたします。また上位通信プロトコルもユーザ仕様に合わせた(ODM)対応の開発・生産もいたします。
この様にモーションコントロールの設計・製造・販売の実績多数ありますので何かご質問等が有ればまずは当社にご相談頂ければユーザ様に最適なご提案をさせて頂きます。