リレーとは

運動会のリレー競技の様にバトンをつなぐ様に「電気をつなぐ」という役割からリレーと名付けられたと言われています。 

図1 リレー

1.リレーとは 

我々が普段使っている電子回路を構成する部品のうち、「リレー」はマイクロコンピューター等から他の電子機器やモータなどを駆動する場合に多く使われています。リレーは、英語で「Relay」と書きます。運動会の種目にもあります様に知られている、バトンを渡す競技のリレーと同じ意味の言葉です。 

リレーは、基本的には電磁石と機械的接点から構成されており、電磁石への通電をオン/オフさせることで、機械的接点をオン/オフ(接点を閉じたり、開いたり)させることができます。 

もとは有線電信において、伝送路の電気抵抗によって弱くなった信号を「中継」(Relay リレー)する為に発明されたそうです。図面などではRyという記号が使われることが多いです。発明者はアメリカの物理学者のジョセフ・ヘンリー氏です。小電力の入力によって大電力のオン・オフを制御することが当初の目的でした。継電器を用いることを時として「アンプする」と言ったそうです。対象とするものを直接に制御するよりは、安全性(感電の防止など)や操作性(設置位置の自由度、遠隔操作)、操作の確実性等が増すことから、必ずしも電力的な増幅の目的にとどまらず、広範囲な目的で用いられています。 

近年では安価で高性能な半導体スイッチが普及し、リレーの用途は少なくなってきましたが、電気の制御盤(シーケンス制御)など、制御の用途ではリレーを使用する場合もまだまだ数多くあります。 

図2 制御盤

2.リレーの構造 

下の図はリレーの動作原理と構造を表しています。 

リレーは、図のように磁石部と接点(スイッチ)部とから構成されています。 

磁石部は、鉄芯にコイルを巻いた電磁石と、磁力により動作する鉄片と、鉄片の動きを接点に伝える可動片(図では一体化されていますが)から構成され、接点部は、可動する接点と出力端子により構成されています。 

図において、入力部分から信号が入力されると(例えば図のON信号)、鉄芯がコイルにより磁化し、鉄片が磁力により鉄芯に接触します。すると、可動片がその動きを接点に伝えます。接点が接触することによりスイッチ部がオンし出力し外部に接続している電気機器(図では電球)が動作(図では電球が点灯)します。 

図3 リレー回路1

リレーの接点部分には閉じる時(ONする)や開く時(OFFする)に火花(アーク放電)が発生する場合があります。リレーを使用する環境(雰囲気)が可燃性のガス等の場合その火花が引火し大事故になる場合がありますので、そのような環境(雰囲気)で使用する場合は接点部分などが外部とは完全に密閉構造になったものを使用するようにしましょう。 

(*)アーク放電(電弧放電とも言います):電極間に電位差が生じることにより、電極間にある気体に持続的に発生する絶縁破壊(放電)の一種です。負極・正極間の気体分子が電離しイオン化が起こり、プラズマを生み出しその中を電流が流れます。結果的に、普段は伝導性のない気体中を電流が流れることになります。この途中の空間では気体が励起状態になり高温と閃光を伴います。電源が交流の場合は直流に比べて放電時間が短くなります。 

(余談ですが)このアーク放電を逆に利用したものが電気溶接です。 

3.リレーの使い方(制御の種類) 

リレーの使い方として(色々な使い方・分類がありますが) 

①小さな電流で、大きな電流を必要とする負荷のオン/オフ制御を行う 

②異なる種類の電気信号を制御する 

③一つの信号で複数の接点を制御する(複数の電気信号を制御) 

に分類出来ます。 

①小さな電流で、大きな電流を必要とする負荷のオン/オフ制御を行う 

図3のリレー回路でAV100Vの電球を点灯させるとします。 

・コイル部に電圧を加えるとコイルに磁束を発生させるだけのごく小さな電流を流せば、これにより、入力側とは直接の接触がない出力側の接点が動いて導通し電球が点灯します。 

リレーを動作させて接点部に大きな電流を流して負荷を動作させることができます。 

(通常は入力側に0.01A~0.1A程度の電流にて出力側を1A~数10A以上の電流を制御することができます。) 

作業者が大電流負荷の近くで直接スイッチを操作すると、スイッチによる火花が発生して作業者が時として危険な場面に遭遇する場合があります。 

これを回避するため、離れたな場所から小さな電流を操作するだけで、大電流負荷のスイッチをオン/オフできるようにリレーを使用します。 

②異なる種類の電気信号をリレー(制御)する 

図4は、直流電源の回路で、交流電源をオン/オフして交流モータを動作させる場合の図です。(かなり簡略化しています) 

図4リレー回路2

リレーは入力側と出力側は接していないため(絶縁状態です)、別の種類の電源電圧を接続することができます。 

直流電源から電圧を加えてコイルを作動させた場合でも、出力側には交流100V等の交流モータを接続し制御することが可能となります。 

このように、異なる電源間で信号を伝えることができるのも、リレーの重要な役割です。 

(*):この時の注意点として、リレーの接点の容量(耐圧・動作電流)が使用するモータの電流値(容量)をカバーできるかの確認は必要です。 

③一つの信号で複数の接点を制御する(複数の電気信号を制御) 

図5は、一つの信号で、複数の回路の接点をオン/オフして負荷を動作(制御)させる場合の図です。 

図5 リレー回路3

出力側に複数の接点を持つリレーがあります。2接点、4接点、6接点など色々は種類があります。 

入力側にひとつの信号を入れるだけで、これらの接点が同時にオン/オフするため、複数の信号として出力することができます。 

この図では入力側も出力側も直流電源ですが、入力側を直流電源・出力側を交流電源の負荷を制御することはもちろん可能です。 

リレーの基本の役割は、「信号を受け取り出力する」ことです。 

複雑な制御システムも、これらを複数組み合わせて作られています。 

4.リレー使用時の注意点 

①定格通電電流 

リレーに表示されている20A、30Aは定格通電電流で、接点を開閉させずに、温度上昇も限度を超えないで連続して流せる電流の値です。 

また、リレーによっては”最大電流30A”という表示があります。これは短時間であれば30Aまで可能と言う表示で、連続で流せる電流は20Aといった場合がありますので、使用時に注意が必要です。 

メーカによって表記が違うので、使用する負荷(モータ・電球等)に対応しているのか確認します。 

②負荷の種類と突入電流 

リレーは負荷の種類によって突入電流特性が違うため、ON/OFFの開閉頻度と関連して接点の容着を起こすことがあります。 

白熱電球は定常電流の10~15倍、モータ類は5~10倍の突入電流が流れてから定常電流になりますので、リレー選択時は負荷の突入電流も考慮して製品を選ぶ必要があります。 

③最大接点許容電流 

リレーの接点の開閉時の最大電流値です。 

リレー接点の開閉時に、接点間にアーク放電が発生する事があります。 

負荷電流には直流電源(電流)と交流電源(電流)の二種類が有ります。 

交流電源はプラス・マイナスに変化するので、電流がゼロのタイミングがありますのでその時点でアーク放電は消えます。一方直流電源は一旦アーク放電が発生すると消えにくい為に、交流より許容容量としては低くなります。 

④逆起電力に対する処置 

リレーのコイルOFF時には、コイル両端に数百~数千ボルトの逆起電力(サージ)が発生します。 

これは、リレーを駆動する電子回路を破壊する十分なエネルギーを持ち、周囲に電磁波(ノイズ)を出して周辺機器の誤動作を引き起す可能性があります。 

この逆起電圧対策として幾つかの方法がありますが、一般的にダイオードを用います。 

吸収効果が大きく回路が簡単のためリレーに内蔵されたタイプもあります。 

リレーの選定時にはここの確認は重要ポイントです。 

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