SSR(半導体リレー) とは

ソリッドステート・リレー(Solid State Relay、SSR)は、電気的な信号制御に使用される電子デバイスで、機械的な接触を持たない状態で電気回路の制御を(ON-OFFを行う)行うことができます。 従来の機械式の継電器(リレー)と比べて高速で正確な制御を行う事が可能で、長寿命で信頼性が高い特徴をもっています。継電器(リレー)と同様の機能を半導体によって作られた電子部品です。 

・従来タイプの継電器(リレー) 

1.半導体リレー(SSR)とは 

半導体リレー(SSR)は、半導体素子を使用して制御信号を電気信号に変換し、これを制御対象の回路に接続して使用します。半導体リレー(SSR)は、内部にトランジスタ・ダイオード・ホトカプラ等を使用して、入力信号に対応して出力を制御します。 また、半導体リレー(SSR)は接点によるメカニカルなスイッチングによって発生する電気ノイズや電磁干渉(EMI)を最小限に抑えることができます。さらに基本的に入力信号側と出力側(接点側)は絶縁されていますので入力側と出力側は電気的に別回路になります。 

入力側から出力側への信号伝達はフォトカプラと同様の構造になっていて、入力側が発光ダイオードで出力側はその受光素子で出来ています。出力回路にはサイリスタを用いています。 

従来のコイルと可動接点によって作られている継電器(リレー)では、コイルに誘導起電力が発生するためにこれを回避するためにバイパス回路が必要でした。 

コイルを含む磁気回路では動作信号(指令)が入力されてから出力(リレーが動作)するまでに遅延時間が発生していました。 また接点は機械式であるので使用回数には寿命があり、動作時の接点にアーク放電の発生によりノイズが発生するなどの欠点が多くありました。しかし半導体リレー(SSR)ではこれらの問題を解決しました。 半導体回路で構成されているのでコイルに比べて格段に小型に出来ています。 

半導体リレー(SSR)はコイルによる誘導起電力の発生が無いために入力回路が簡素化されています。さらに接点が存在しないために接点の開閉アーク放電等によるノイズの発生がないなどのメリットがあります。 

2.SSR使用時の注意点 

2-1 SSRを駆動側(入力電源)の確認 

SSRには色々と種類があります、AC電源やDC電源を受けることで動作するようになっています。 

その駆動側の電源仕様が『5-24V DC』・『200-240V AC』の様に種類によって色々とありますので、制御機器側の出力仕様と合わせるか、制御機器側を合わせた半導体リレー(SSR)を選定しないといけません。 

一般的には『DC 12V』・『DC 24V』等のDC電源が制御機器側から出力される機器が多い様ですが、部品選定の際は確実に確認しておかないと正しく動作しない場合があります。 

2-2 負荷側の出力容量の確認 

負荷への接続は冷房だったり暖房だったり・扇風機だったり電源を入れて動かす対象物のことです。 

負荷容量とは、簡単に言うと電流の流れる量を意味します。 

出力側ですがこれに関しては動作する対象によっても変わってきます。工場を冷やしたり暖かくしたりするにはそれなりに大きな空調設備が必要でしょう。当然、電力量(負荷容量)は大きいものが必要になります。 

しかし、扇風機一個やランプの動作でしたら大きい容量のものは必要ありません。 

半導体リレー(SSR)を通してその電気の流れを制御(入切)するわけですから、当然半導体リレー(SSR)にも耐えられる量としてその電流に合わせて部品の選定を行います。 

出力側として通常は動作をさせる装置に供給される容量(アンペア数)より多いものを選定しないと破損してしまいます。 

2-3 継電器(リレー)を半導体リレー(SSR)に置き換える時の注意点 

半導体リレー(SSR)は、継電器(リレー)と比較すると、高寿命・高速開閉可能・振動・ノイズの発生が少ない・動作音がしないなどのメリットがありますが、漏れ電流や、周囲温度の影響を受けやすいといった注意点もありますので置き換えを検討の際には注意が必要です。 

また、実際に開閉する負荷の種類・容量・突入電流などの仕様上の定格を仕様書などで必ず確認の上、半導体リレー(SSR)の選定を行う様にすると良いでしょう。 

〔主な注意点〕 

 ・OFF時に漏れ電流があります。 

  入力側に電圧が印加されていなくても、微小な電流が負荷側に流れているため、負荷によっては復帰不良が起こる場合があります。 

 ・使用周囲温度によって開閉容量が変化する特性があります。 

  温度が上昇すると開閉容量が小さくなります。 

  また、機種によっては放熱器の有無によっても開閉容量が異なります。 

  放熱フィンを取り付ける必要のある場合もありますので確認してください。 

 ・出力は1極のみで、リレーでの1a接点に相当します。 

  b接点と同等の出力を取ることはできません。 

 ・ほとんどのSSRが、AC用、DC用に分かれています。 

3.半導体リレー(SSR)の特徴 

3-1 半導体リレー(SSR)の大きな特徴にゼロクロス機能があります。 

半導体リレー(SSR)には、トライアックやSCR(サイリスタ)などの半導体スイッチを使用して、負荷回路の電力を制御するものがあります。一般的にこれらのデバイスは、負荷回路の交流電源のゼロクロス時(0Vのタイミング)にスイッチをオンにすることが望ましいです。これは電力がオンになるタイミングを調整することで、ノイズや電気的な干渉を最小限に抑えることができます。 

したがって、半導体リレー(SSR)のゼロクロス検出回路は、負荷回路の電力がオンになるタイミングを調整するために使用されます。これにより、負荷回路に流れる電流が安定し、騒音やEMI(電磁干渉)が低減され、負荷回路がより安定して動作するようになります。 

出力で商用電源を開閉する場合、図の様に電圧のピーク付近でリレーがONした場合接続している負荷等使用状況にも寄りますが、ノイズ等発生し機器の誤動作の原因となる場合があります。 

ゼロクロス機能が有ると商用周波数の0Vで出力がONするのでノイズ発生を抑制する事ができます。また、通常電源ON時には突入電流が流れるれますがこの突入電流も最小限に抑える事ができさらにノイズ発生の発生の抑制や電源回路の電子部品への影響も抑えられます。 

電源ON時の説明のみでしたが、電源OFFの時も同様に0Vの時にOFFにするのでONの時と同様にノイズ等の発生を抑制する事ができます。 

しかし、最大で商用周波数の1/2周期のタイムラグが発生しますので、使用する用途に寄っては注意が必要です。 また、半導体リレー(SSR)のゼロクロス機能あり・ゼロクロス機能なしがありますので「ゼロクロス機能あり」を選定する必要があります。 

(*)商用周波数:主に関東以東では50Hz、主に関西以西では60Hzです。 

 50Hz地域の1/2周期:10msec 

  60Hz地域の1/2周期:8.33msec 

3-2 長寿命で高信頼性 

すでに述べており繰り返しになりますが、半導体リレー(SSR)は機械的な接点を持たないため、接点の摩耗や焼きつきが発生する事がなく長寿命で高信頼性です。 

また、機械式リレーと比較して小型化が可能であるため、コンパクトな回路設計に適しています。しかし半導体リレー(SSR)は機械的なリレーに比べてコストが高い場合があります。 

3-3 微小電流の制御 

従来の継電器(リレー)では、接点に十分な電圧を接点に印加または電流を流さないと接点の絶縁膜を破る事が出来ず、正常に動作しなくなることがありました。 

従来の継電器(リレー)ではそのような場面では、微小電圧対応や微小電流対応の接点を持ったリレーを用意しないといけませんでした。半導体リレー(SSR)ではそもそも接点がないので、基本的には低い電圧・電流のON・OFFの制御が可能です。 

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