電子部品【集積回路】 とは

集積回路(しゅうせきかいろ、英語表記: integrated circuit, IC)は、半導体の表面に、微細かつ複雑な電子回路を形成したものを樹脂等で封入した電子部品の事です。 

1.集積回路の概要 

集積回路とは、シリコン単結晶などに代表される「半導体チップ」の表面に、不純物を拡散させることによって、トランジスタ・コンデンサ・抵抗器として動作する構造を形成したり、アルミ蒸着とエッチングによって配線(パターン)を形成したりすることにより、複雑な機能を果たす電子回路が作り込まれている電子部品のことを言います。 

多くの場合、複数の端子を持つ比較的小型のパッケージに封入され、内部で端子からチップに配線されモールドされた状態で、部品・製品となっています。 

初期の頃の集積回路の概念は、モノリシックIC(集積回路)というよりはハイブリッドICに近いものでした。基板に蒸着技術で抵抗素子やコンデンサを形成してトランジスタと組み合わせる薄膜集積回路や、現在のプリンテッドエレクトロニクスに相当する印刷技術により抵抗や配線、コンデンサなどを1枚のセラミック基板上に集積した厚膜集積回路が開発されました。その後技術が進み現在の集積回路(IC)と進化しました。 

2.ICの分類定義(SSI・MSI・LSI) とは

2-1 SSI・MSI・LSI 

SSI・MSI・LSIは集積する素子の数によってICを分類定義したものです。「MSL IC」との言い方をしたそうですが、最近ではほとんど使用されていません。比較的小規模のものを単に「IC」、比較的大規模のものを単に「LCI」としているようですが、最近では「IC」と「LSI」を同意語として使用すること多いようです。 

初期の集積回路はごくわずかなトランジスタを集積したものでした。これをSSI (Small Scale Integration) と称していました、後にMSI (Middle Scale Integration) やLSI (Large Scale Integration) という語と同時に作られたと思われます。 

1960年代に初期の汎用ロジックICが出現しました。やがて多品種が大量に作られるようになり、コンピュータのようにそれらを大量に使用する製品や、あるいは家電など大量生産される機器にも使われるようになりました。1970年代にはマイクロプロセッサが出現しました。 

集積度の高いMSIやLSIが普通に生産されるようになると、このような分類も曖昧になり、マイクロプロセッサなど比較的複雑なものをLSI、汎用ロジックICなど比較的単純なものをIC、と大雑把に呼び分ける程度の分類となりました。 

2-2 VLSI 

もとの分類ではLSIに全て入りますが、1980年代に開発され始られたより大規模な集積回路をVLSI (Very Large Scale Integration) という様になりました。 

これまでの多数のICで作られていたコンピュータに匹敵する規模のマイクロプロセッサが製作されるようになりました。1986年、最初の1MbitRAMが登場しました。これは100万トランジスタを集積したものです。1993年に最初のPentium(インテル社のマイクロプロセッサ―)には約310万個のトランジスタが集積されています。 

2-3 ULSI 

VLSIに続いて、新たに ULSI (Ultra-Large Scale Integration) という分類も作られました、集積される素子数が100万以上とも1000万以上ともいわれますが、そのような集積度の集積回路も、今日普通はVLSIとしています。 

2-4 SoC 

SoC(System on a Chip)は、現在では集積回路の上に一つの統合されたシステム自体を組み込んだ製品が開発されており、特にそういった製品を指してSoCとの呼称が使われています。 

CPUと混同されることがありますが、CPUはメモリやマザーボード、ビデオチップなどを別々に用意しなくてはシステムとして動かすことができません。 

一方SoCはシステムそのもののため、用途によって必要なパーツを集約(集積)しています。そのため、単体でのシステム動作を実現しています。 

3.集積回路の製造工程 

集積回路は、どのように製造されているのでしょうか。 

現代の集積回路の集積率はきわめて高くなっています。手作業でチップに配線するわけにはいきません。 

そこでイメージとしまして、チップを作りそのチップ上に回路パターンを転写します。 

そのため集積回路を作るためには、まずコンピュータ等を用いて回路パターンの設計・作成行います。 

作成した回路パターンは透明なガラス板の表面に描きます(もちろんコンピュータなどを用いて)。 

これがフォトマスクとなり、ウェハーに回路を転写する際に用います。 

回路パターンができたら、次にチップを作っていきます。 

ところで集積回路とはなにでしょうか。 

集積回路の正体は半導体です。 

この半導体の基本となるものが、シリコン結晶です。 

もちろんコンデンサやトランジスタなどの半導体を実装するためのチップもシリコン製です、これをウェハーと呼びます。 

製造工程としては、純度の高いシリコン結晶を溶かします。 

なお、シリコンは4価元素(価電子が4つある元素のこと)に当たります。 

不純物のない、高純正の半導体なのですが、実は純半導体は電流がほぼ流れません。 

そこで、価電子の異なる別の物質を少量混ぜることで、電子部品として成り立たせることが必要です。 

これをドーピングと呼びます。 

混ぜ合わせられるものは、まず3価元素にあたるホウ素やガリウム。 

3価元素が混ぜられたシリコンをp型半導体と呼びます。 

もう一つ、5価元素を混ぜるものもあります。(リンやヒ素などです) 

5価元素が混ぜられたシリコンをn型半導体と呼びます。 

このシリコンを溶かし、ゆっくり回転させながら引き上げます。 

すると、一つの大きな円柱形の塊(インゴット)となります。 

ちなみにインゴットの直径は、8インチ,12インチなど年々大きくなっていっています。 

直径を大きく生成・しかも均一にすることは難易度が高いのですが、大きければ大きいほどたくさんの集積回路を一度に形成(作成)することができます。 

そのため、製造技術は開発・研究され、進化し続けています。 

その後、インゴットを0.5mm~2mm程度の薄さにスライスします。 

このスライスしたものがウェハーとなり、集積回路の基板となります。 

ちなみにウェハーの語源は、焼き菓子のウェハースからちなんでいるそうです。 

ウェハーが出来上がったら、いよいよ回路を転写します。 

ウェハーに集積回路を形成するにはステッパーやスキャナーなどと呼ばれる光学装置が用いられます。 

ステッパーは半導体製造のために開発されたデバイスで、数百~数千の集積回路を焼き付けることができます。 

ウェハーにフォトレジストを均一に塗布し、事前に作っておいたフォトマスクを、ウェハーへ光によって照射します。 

縮小レンズを通すため、ごく微細なウェハーにもフォトマスクのパターンを転写することができます。 

フォトレジストは化学薬剤で、塗布された部分は光に反応します。 

回路パターンによって露光する部分としていない部分が存在するため、照射後に溶液に入れてフォトレジストを除去すると、パターンが浮かび上がってきます。このパターンに沿ってエッチング(不要部分を溶かします)すると、回路がウェハー状に出来上がります。 

なお、前述した不純物を含有させるドーピングは、エッチング後に行われます。 

これによって集積回路としての半導体特性が出来上がったこととなります。 

このような工程を繰り返し、必要な回路がウェハー状に転写されていきます。 

そうして全ての回路パターンが転写できたら電極を作成します。 

やっと集積回路となったウェハーはカッターで個々に切り離されます。 

その一つ一つをダイ(die)と呼び、ダイは配線用の端子の台の上に置かれ、ワイヤーで接続されます。 

そうしてダイの保護のためプラスティックなどでパッケージングを行えば集積回路(IC)のできあがりです。 

ちなみに現在ではシリコンに代わって、同じ4価元素である炭素(C)で生成されたダイヤモンドが集積回路の材料として注目を浴びています。 

ダイヤモンドと言うとマリッジリングなど「高価」なものを思い浮かべるかもしれませんが、実は産業用途によく用いられる素材です。 

ダイヤモンドはシリコンに比べて熱伝導率が高いことが注目の理由です。伝導率が高いほど敏感に反応できるため、高性能センサなどで重宝されています。 

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