通信(telecommunication テレコミュニケーション) 

離れた場所間でのコミュニケーションのことを言います。例えば人同士で直接的に肉声などを用いて意思の伝達(コミュニケーション)が出来る距離を超えて行うコミュニケーションを言います。 

何らかのツール(機器や装置)を使用するものです。 

人間の聴覚や視覚に頼って行われる伝言・警報・手旗・光など・郵便や伝書鳩も通信の形態の1つです。 

1.通信の概要 

我々が通常使う通信は、電気を用いた通信で無線通信や有線通信に分ける事が出来ます。 

無線通信といえば、身近ではWiFiがあります。 

有線通信といっても、当初は銅線を使用したものから最近では光ファイバーを用いた通信があります。 

送り側と受け側の数で、1対1の通信や1対多の通信があります。 

また通信を行うにあたり、通信に参加するもの同士間で事前に通信に関する規格を決めておく必要があります。通常はプロトコルを合わせると言います。 

主にネットワークを利用しコンピュータ同士でデジタルデータを伝送することをデータ通信と呼びます。これも通信ですが、今では通信といえばこの事とをさしますね。 

通信の歴史について、このような現在の電気を用いる通信の前は 

  • のろしなど煙や・炎を使って目視での伝達 
  • 飛脚などによる信書いわゆる手紙での伝達 

 (これは今でも使われていますね) 

がありその後に電気を用いた通信の始まりとして 

  • 電気による通信として約200年前に電信(モールス信号)による伝達 
  • その後電信から電話(音声)による伝達 
  • その後メール(テキスト)による伝達 
  • その後にメール(画像)による伝達や映像によるビデオ通話による伝達 

このように徐々に発達し現在の通信に至っています。 

2.通信の種類 

通信は情報を送受信するための手段やプロセスを指します。さまざまな種類の通信が存在します。ここではいくつかの一般的な通信の種類について説明いたします。 

  • 有線通信: 有線通信は、ケーブルや導線を使用して情報を送信する方法です。一般的な有線通信の例には、電話回線・イーサネット・USB・HDMI(高精細度マルチメディアインターフェース)などがあります。 
  • 無線通信: 無線通信は、電波や光を使用して情報を送信する方法です。無線通信は、電波を利用する無線通信と、光を利用する光ファイバー通信に分けられます。無線通信の例には、ラジオ・テレビ・携帯電話・Wi-Fi・Bluetoothなどがあります。 
  • 衛星通信: 衛星通信は、地上と宇宙の間で情報をやり取りするために人工衛星を使用する通信方式です。情報は地上から衛星に送信され、衛星はそれを別の地点に中継します。衛星通信は、テレビ放送・衛星電話・GPS(Global Positioning System)などの通信に広く使用されています。 

・光ファイバー通信: 光ファイバー通信は、光ファイバーケーブルを使用して情報を光信号として送受信する通信方式です。光ファイバーケーブルは、ガラスやプラスチックの繊維で構成されており、高速かつ大容量のデータ伝送が可能です。光ファイバー通信は、長距離通信や高速インターネット接続などに広く使用されています。 

  • インターネット通信: インターネット通信は、インターネットを介してデータを送受信する方法です。インターネットは、世界中のコンピュータネットワークを相互に接続し、データを交換するためのグローバルなネットワークです。インターネット通信は、ウェブブラウジング・電子メール・ファイル転送・ビデオ通話など、さまざまなオンラインサービスやアプリケーションで使用されています。 

3.ネットワークと通信の違いについて 

まず、ネットワークとは「つながっている」という意味があります。通信とは「情報のやり取り」を行うことです。 

3-1 ネットワークとは 

ネットワークという言葉は、最近は色々な場面で使用されています。 

  • 人のネットワーク 
  • 物流ネットワーク 

いずれも共通する事は「つながっている」ということです。 

人のネットワークは、沢山の人がつながっています。物流ネットワークは、色々な拠点がつながっています。 

では、ネットワークは、どのようなものが「つながっている」でしょうか。 

それは、いろいろなコンピュータがつながっていることです。 

インターネットは、1つの大きなネットワークです。みなさんが普段お使いのスマートフォン・パソコン・いろいろな会社のコンピュータがネットワークにつながっています、これがインターネットです。 

別の言い方で言いますと、たとえばあなたがWebでニュースを閲覧する事を想定してみて下さい。パソコンからWebニュースを閲覧しますとWebニュースの記事はあなたから離れた場所にあるコンピュータにあります。このコンピュータは、インターネットと呼ばれているネットワークに接続しています。したがってあなたのパソコンもインターネットを使用すれば、ネットワークでつながっているのでWebニュースを見る事が可能となります。 

3-2 通信とは 

通信は、「情報をやりとりすること」です。 

同様に先ほどのWebニュースの例で説明します。 

Webニュースの記事を見るとき、あなたのパソコンとコンピュータと情報のやり取りをしています。=>通信をしているということになります。 

あなたのパソコンは、「記事を見る」。Webニュースのコンピュータは「OKです」と言って記事をあなたのパソコンに送信します。この一連の流れが通信です。 

別の例を言いますと、あなたが友人とSNSをしているのも通信、動画サイトを観るのも通信という事になります。 

3-3 通信で情報をやりとりするためには 

通信で情報をやり取りするためには、一定の約束事があります。その約束事について少し説明致します。 

ネットワークにつながるパソコンなどの機器同士がデータをやりとりするための約束事で「通信プロトコル」があります。 送信側と受信側でどのような形式でデータを表現し、どのような意味を持たせるのか、どんな順番で送るのかなどを決めています。 

そのいくつかを紹介いたします。 

①HTTP(Hyper Text Transfer Protocol) 

Webブラウザがサーバーと通信する時に使用されるものです。html などによって記述されたファイルを送受信する時の決めごとです。 

(*)html: Webページの構成で用いられる形式(言語の様なもの) 

②HTTPS(Hyper Text Transfer Protocol Secure) 

HTTPのプロトコルによる通信より「セキュア:安全に」行うプロトコルです。 

最近ではこのプロトコルの使用が多いです。 

お使いのブラウザのアドレスを入力する場所の先頭にカギマークが付いていればこの 

HTTPSのプロトコルに対応しているホームページです。 

弊社のホームページもこのプロトコルに対応しています。 

③FTP(Fil Transfer Protocol) 

ネットワーク上のクライアントとサーバーの間でファイル転送を行うためのプロトコルで主に 

  • サーバーにアップされたファイルの一覧を見る 
  • ファイルをサーバーにアップロード、ダウンロードやバックアップを行う 
  • FTPサーバーに接続し、データの操作を行う 

の用途で使用します。 

④SMTP(Simple Mail Transfer Protocol) 

インターネットでメールを送信するときに必要なプロトコルです。メールソフトからメールサーバーへ電子メールを送信するときに使用します。 

⑤IMAP(Internet Message Access Protocol) 

インターネットでメールを受信して管理するためのプロトコルです。メールをサーバー上で保持し続けることができる仕様になっています。 

複数のPCとタブレットなどでメールを共有する(会社用PC、外出用タブレットなど)場合には便利です。 

⑥DNS(Domain Name System) 

DNSとは、インターネットなどのIPネットワーク上でドメイン名(ホスト名)とIPアドレスの対応関係を管理するシステムの事です。 利用者が単なる数字の番号列であるIPアドレスではなく、日常使っている言語の文字を組み合わせた認識しやすいドメイン名でネットワーク上の資源にアクセスできるようにしています。 

4.車載イーサネット

4-1.車載インターネットの概要

車載イーサネットは、自動車内のデバイス間で高速かつ効率的なデータ通信を実現する技術です。従来のCANバスやLINなどのネットワークに比べ、イーサネットは高帯域幅と低遅延を提供し、複雑なデータやメディアコンテンツのデータ送受信に適しています。特に、自動運転やコネクテッドカーのような先進的な機能を持つ車両では、大量のセンサーデータや高解像度の映像データをリアルタイムで処理する必要があり、車載イーサネットはその基盤となる重要な技術です。

自動車業界では、車載イーサネットの標準化が進んでおり、数多くのメーカーがこの技術を採用しています。イーサネットは、車内のエンターテインメントシステム・ナビゲーション・運転支援システムなどのさまざまなアプリケーションに対応可能です。また、車載イーサネットは車両の診断やソフトウェアのアップデートなど、メンテナンスの効率化にも貢献しています。

(*)コネクテッドカー:

コネクテッドカーとは、簡単に言いますと「常時ネット接続され、最新の道路状態を取得して最適なルートを算出したり、車両にトラブルが発生した際にしかるべきところに連絡してくれたりする機能を搭載した車」の事を言います。

(*)CAN:

CAN(Controller Area Network)は1986年に公式に発表された通信規格です。 従来の通信規格に比べ配線が少なく、スマートなネットワークを構築するため、軽量化やコスト削減できるメリットがあります。信頼性や確実性が高いため、車ではエンジン・ブレーキ・ミッションといった根幹部分に使用されています。自動車業界以外でも様々な分野で導入されていますが、通信速度は最大1Mbpsであり、画像処理といった大容量データ向きではありません。

(*)LIN:

LIN(Local Interconnect Network)は1999年に登場した通信規格です。通信速度は最大20kbpsと低速ですが、CANより低コストで導入ができます。信頼性の高いCANを必要とするような自動車の根幹部分以外の、ミラー・パワーウィンド・ドアロックなどのボディ系の制御に使用されています。

5.車載イーサネットの詳細

5-1車載イーサネットのメリット

①高速データ転送:

車載イーサネットは高速なデータ転送が可能な為、自動車内での情報の迅速な共有が可能です。例えば、複数のセンサやカメラからのデータをリアルタイムで処理し、運転支援システムやエンターテイメントシステムに反映させることができます。

②柔軟性と拡張性:

車載イーサネットは柔軟なネットワークトポロジーを提供し、必要に応じてシステムを拡張できます。これによって新しい機能やセンサの追加が比較的容易になります。

③信頼性:

車載イーサネットは信頼性の高い通信プロトコルを使用しており、データの正確性と安全性を確保することができます。これは、自動車の安全性や運転支援機能にとって極めて重要です。

④統合性:

車載イーサネットは、既存のイーサネット技術を活用しているため、既存のネットワークとの統合が容易に可能です。

5-2車載イーサネットのデメリット

①コスト:

イーサネットネットワークの導入には、新しいハードウェアやソフトウェアの開発、車両の設計変更などが必要となり、初期投資が必要です。また、既存のネットワーク技術との互換性を確保するためにコストがかかる場合もあります。

②電磁波干渉:

車載環境では、電磁波干渉が発生しやすいため、イーサネットの信号が妨害される可能性があります。これは、データの正確性や通信の安定性に影響を与える可能性があります。

5-3車載イーサネットスイッチ(Ethernet Switch)

車載イーサネットスイッチとは、ECUやセンサ・カメラ等とつながるための複数のPortを持ち、 それらと相互に接続することによってネットワークを構築するデバイスのことを言います。

相互接続のためにMACフレームを用いて通信、または転送制御し、自動車に求められる通信品質の確保が出来るよう設計されています。車載イーサネットスイッチはOSI参照モデルLayer 2の役割があり、車載Ethernet PHYに対して一つ上位のレイヤを扱います。

(*)MACフレーム:

イーサネット(Ethernet)において、端末間でやり取りされるデータに送信先アドレスなどの制御情報を付加したデータの送受信単位の事を言います。

イーサネットでは送りたいデータを決まった長さ(46~1500バイト)ごとに分割して、前後に制御情報を付加したイーサネットフレームを一単位として、連続した信号で送受信を行います。

(*)OSI参照モデル:

OSI参照モデルとは、コンピューターネットワークでの各通信機能の仕組みを7つの項目に分類したもので、各層での役割がそれぞれ異なっており、layer2では同一ネットワーク間でのデータ転送方式を決定します。

layer1では信号変換など物理的な機能を有します。

  • 車載イーサネットスイッチが扱う転送方式について

①ユニキャスト:

 1台の宛先を指定してデータ転送する方式。

②マルチキャスト:

 複数の宛先を指定してデータ転送する方式。

③ブロードキャスト:

 不特定多数(全宛先)にデータ転送する方式。

 宛先MACアドレスがFF:FF:FF:FF:FF:FFの時に実行されます。

 *MACアドレスとは、ネットワーク接続機器が持つ固有の識別子(アドレス:宛先)です。

6.車載イーサネットケーブルでの電力供給

イーサネットケーブル経由でデバイスにDC電力を供給する技術としてPoE(Power of Ethernet)やPoDL(Power of Data Line)が挙げられます。

個別の電源やコンセントの使用なしでイーサネットケーブルのみで電力供給が可能となり、電力用電線が削減される事でケーブル自身の重量が低減するだけではなく、電磁干渉の低減やコネクタの削減による省スペースになるメリットもあります。さらにPSE・PDに接続されているインダクターで電流量を調整することで、周辺のセンサ等に適切な電圧供給が可能です。

(*)PSE(電源供給装置):

PSEは「Power Sourcing Equipment」の略であり、PoEにおいて電力を供給する側の給電機器の事を言います。

(*)PD(受電機器):

PDは「Powered Device」の略であり、PSEから電力の供給を受ける受電機器の事を言います。

6-1 PoE(Power of Ethernet)

PoE(Power of Ethernet)は、主に民生機器や産業機器で使用されています。IEEE802.3afの規格によって制定され、給電装置(PSE)および受電デバイス(PD)という2種類のPoEデバイスが定義されています。PSEでは、電力は装置自体の従来型の電源から供給されます。

PSEは、イーサネットケーブルネットワークでPDに伝送される電力を管理します。PDが必要とする電力はRJ45コネクタ経由で供給されるため、内蔵電源は必要ありません。PSEからPDに給電するケーブルを電源インターフェース(PI)といい、MDIと同義です。

モードによって、電源供給のペアケーブルが異なります。

6-2 PoDL(Power of Data Line)

PoDLは車載向けの技術で、IEEE802.3cgで制定されています。

PoEとPoDLの大きな違いは、電力供給する際に使用するツイストペアケーブルの本数です。PoE同様、データ送信に使用されるケーブルを使用して電力を供給が可能で、PoDLでは1本のツイストペアケーブルのみで電力供給が可能です。100BASE-T1、1000BASE-T1 や10BASE-T1S 、10BASE-T1Lに使用されます。

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