ソレノイド(英語表記:Solenoid) とは

ソレノイド(Solenoid)は、電磁コイルを使用してメカニカルな動きを制御するデバイスです。ソレノイドの特徴、使用用途、種類、および使用方法について説明致します。 

1.ソレノイドの特徴 

鉄心(鉄の棒)の周りに銅線を巻き付け、銅線に電気を流すと鉄心に磁力が発生します。これが“電磁石”と呼ばれるものです。その電磁石の鉄心を可動鉄心と固定鉄心に別けて銅線に電気を流すと、鉄心に磁力が発生し、可動鉄心は固定鉄心に引き寄せられます。電気エネルギーを機械的な直線運動に変換して利用しているのがソレノイドの基本となります。 

磁気回路を形成するためのフレーム、直線運動させるための鉄心、磁力を発生させるコイル(銅線)を合体させたものが“ソレノイド”と呼ばれる形状になります。 

大抵のソレノイドにはバネがついています。コイルへの通電を遮断するとバネの力によって元の状態に戻る構造になっていますので、コイルへの電流を制御することによって確実な動作を実現しています。コイルの制御ですので、モータ制御と基本は同じです。 

2.ソレノイドのタイプ 

ソレノイドは基本的に鉄心をリニアにスライド(動作)をさせる構造ですので、扉の施錠を例に説明いたします。 

①通電時解錠型 

ソレノイドに通電している間だけ解錠することが出来るタイプ。電源が切れたり断線した時などで、通電が切れると施錠状態となり扉を開けることができなくなります。防犯上の安全性に優れた仕様で、主に防犯性を重視する用途などで用いられます。 

②通電時施錠型 

ソレノイドに通電し続けている間は施錠することが出来るタイプ。通電を切ると解錠となります。火災や事故などによって電線が断線した場合は解錠となることから、防犯上の安全よりも避難や消防活動を優先的に行う必要のある用途などで用いられます。 

このタイプの場合、通常通電状態なので常に電力供給が必要となりますので省エネルギーではありません。 

③キープ型 

ソレノイドに正方向または逆方向のパルス電圧を印加することにより、施錠状態または解錠状態の2動作を行い、それぞれの位置で無電力(無通電)保持します。常時通電する必要がないため省エネルギーです。 

3.ソレノイドの使用用途 

3-1 バルブ制御: 

ソレノイドバルブは、液体やガス(気体)の流れを制御するために広く使用されています。自動車・産業・医療機器などさまざまな分野で使用されます。 

3-2 ロックとセキュリティ: 

電子ドアロックやセキュリティシステムにおいて、ソレノイドは施錠と解錠の制御に使用されます。 

3-3 自動車産業: 

ソレノイドは、スターターソレノイドやトランスミッション制御など、自動車の多くの部品で使用されます。 

3-4 医療機器: 

ソレノイドは医療機器で、液体の吸引やバルブ制御・ピンチバルブなどに広く使用されています。 

(*)ピンチバルブ:ゴムチューブを押し挟んで流路を開閉するバルブです。液体材料はバルブ本体の中を流れないので、液溜まりができず衛生的で、薬液等の制御に適しています。 

3-5 産業オートメーション: 

ソレノイドはコンベヤベルトの制御・ソレノイドバルブ・ロボットアクチュエータなどの産業用途で使用されます。 

4. ソレノイドの用語の説明 

一般的にデータシートなどに出てくる用語について簡単に説明致します。 

4-1 可動鉄芯(ソレノイドの動作する部分) 

①役割: 

鉄芯は、ソレノイド内の磁場を増強し、効率的な電磁コイルを形成する役割があります。鉄芯が存在することにより、磁束がコイル内で集中し、磁場の強度が増します。 

②材質: 

ソレノイドの鉄芯は一般的に鉄または鉄合金で作られます。これは、鉄が磁性材料であるためです。鉄芯は、磁束を導く材料として優れており、磁気の特性を最大限に活用できます。 

③鉄芯の形状: 

鉄芯は通常、棒状や円筒状の形状をしています。この形状は、コイルの周りに巻かれたワイヤーと組み合わせて、効果的な磁場の生成を支援します。 

④磁気特性: 

鉄芯は、電流が流れると磁化され、ソレノイド内で磁場を強化します。鉄芯は高い相対透磁率(磁場を導く能力)を持っており、磁束の拡散を防ぎ、ソレノイドの性能を向上させます。 

⑤制御とアプリケーション: 

ソレノイドの鉄芯は、電流の制御によって磁場の強度を調整でき、さまざまなアプリケーションで使用されます。例えば、電磁弁、リレー、ソレノイドロック、電磁吸盤、トランスフォーマーなどで利用されます。 

4-2 固定鉄芯(ソレノイドのコイルのある不動部分) 

①ソレノイドの基本部分: 

ソレノイドは、通常、ワイヤー巻線が円筒状に巻かれたコイルで構成されています。電流がコイルに流れると、コイルの周りに磁場が生じます。この磁場の強度は、電流の大きさに比例します。 

②固定鉄芯の役割: 

ソレノイドの固定鉄芯は、コイルの中に挿入される磁性の材料です(通常は鉄や鉄合金)。固定鉄芯はいくつかの重要な役割を果たします。 

a. 磁束の増強:固定鉄芯は、電流が通るときに生じる磁場の強度を増加させます。これにより、ソレノイドの出力磁場が強化され、より効率的に磁力を生成できます。 

b. インダクタンスの増加:固定鉄芯は、コイルのインダクタンス(自己インダクタンスとも呼ばれます)を増加させます。これにより、コイルが電流の変化に対してより抵抗力を持ち、電流の急激な変化を防ぎます。 

c. 磁場の集中:固定鉄芯は、磁場をコイルの内部に集中させる役割も果たします。これにより、コイルの外部への漏れ磁場が減少し、効率的な磁力発生が可能となります。 

4-3 定格吸引力(可動鉄芯が定格ストロークにある時の吸引力) 

①定義: 

ソレノイドの定格吸引力は、特定の条件でのソレノイドの最大吸引力を表すパラメータです。この吸引力は、ソレノイドのコイルの仕様、電流、および磁性材料(鉄心)に依存します。 

②影響要因: 

ソレノイドの定格吸引力は、以下の要因に影響されます。 

・コイルの巻き数と形状 

・コイルに流れる電流の強さ 

・鉄心の材料と形状 

・磁気回路の設計 

・空気間隔(ソレノイドと鉄心の間の距離) 

③計算方法: 

定格吸引力を計算するためには、ソレノイドの仕様と磁性材料の性質を知る必要があります。一般的に、以下の式を使用して計算できます。 

定格吸引力(F) = (μ₀ * μᵣ * N² * A) / (2 * g * l) 

ここで、各項目の意味は次の通りです: 

μ₀: 真空の透磁率(約4π×10⁻⁷ H/m) 

μᵣ: 鉄心の相対透磁率 

N: コイルの巻き数 

A: コイルの断面積 

g: 空気間隔(ソレノイドと鉄心の間の距離) 

l: 鉄心の長さ 

吸引力には各種パラメータがありますが、N(コイル巻き数)が一番影響が大きいのかわかりますね。 

④単位: 

定格吸引力は通常、ニュートン(N)で表されます。 

⑤定格吸引力の利用: 

ソレノイドの定格吸引力は、自動制御、ロック解除、バルブ操作、電磁線路、自動車ブレーキなどのさまざまな応用に使用されます。ソレノイドの吸引力が十分に強力であることは、特定のアプリケーションの正確な動作に重要です。 

4-4定格ストローク:(可動鉄芯が動作できる範囲) 

①ストロークの定義: 

ソレノイドのストロークは、ソレノイドの芯が初期位置から最終位置まで移動できる最大距離を言います。通常この距離はミリメートル(mm)またはセンチメートル(cm)で表されます。 

②ソレノイドの設計要件に依存: 

ソレノイドの定格ストロークは、特定の用途や要件に合わせて設計されます。たとえば、自動車のブレーキシステムで使用されるソレノイドのストロークは、ブレーキディスクとパッドの間のクリアランスを制御するために設計され、定格ストロークは非常に小さいことが一般的です。一方、工業用のソレノイドは、バルブや弁の制御などのアプリケーションで使用され、ストロークはその用途に応じて設計されます。 

③電流とストロークの関係: 

ソレノイドのストロークは、通過する電流の強度によって影響を受けることがあります。通常ソレノイドに流れる電流が強いほど、磁場が強くなりストロークも大きくできます。しかしソレノイドの設計においては、電流制限や磁場制御が必要な場合もあります。 

④応答時間とストローク: 

ソレノイドの応答時間もストロークに影響を与えます。ストロークが長い場合、ソレノイドが応答するまでに時間がかかることがあり、特定のアプリケーションには適していない場合があります。 

⑤その他: 

・静保持力:可動鉄芯が固定鉄芯に密着した状態で保持している力、引き離す時の力 

・保持電流:可動鉄芯が固定鉄芯に密着した状態の電流値 

・始動電流:定格ストローク位置での電流値 

・通電率(デューティー):ソレノイドの動作時間と休止時間の合計(1サイクル) 

に対する動作時間の割合 

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